ヴァル・キルマー 映画に人生を捧げた男のレビュー・感想・評価
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ヴァル・キルマー氏の生い立ちとフィルモグラフィーを、プライベート映像と映画本編映像とで振り返るドキュメンタリー。
自分が映画を観るようになった頃には、ヴァル氏は既に制作現場でのあれやこれやによって「才能と力はあるが問題児」として知られており、日本で大きくとり上げられるような作品には出演しなくなっていたので、彼が自身の言葉で語るストーリーに興味があって本作を鑑賞した。
今でこそ手軽に動画が撮影できる時代だが、ヴァル氏は幼少時から兄弟とショートムービーを作ったりプライベートやバックステージを録画する習慣があったそうで、冒頭からそのフィルムやテープの保管量に圧倒される。現在の映像と交えながらテンポよく編集・構成されているが、元の映像を把握し、使う部分を選ぶだけでも一苦労だっただろう(笑)。
主演や助演作について、出演の動機や役柄への取り組み、関わった共演者や監督の印象を一つずつ丁寧に語る時間は非常に贅沢だった。俳優がプロモーションを離れて作品や役柄について語り、役を掴むために何をしているかを聴けるのは、映画ファンとして興味深い。
喪失や不安について率直に語り、家族や人生観について語るパートも豊富で、一個人のドキュメンタリーとしても見応えがあった。声を失った後カムバックする以前に作られたものなので「これからのヴァル・キルマー」についてはやはり口が重く、その後のカムバックを知ってはいても胸が痛かった。
今後も出演作の予定があるそうなので、カムバックの裏側から現在について語る続編や完全版を期待したい。
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