「本当の「家族」」マイ・ハート・パピー talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
本当の「家族」
<映画のことば>
名前は、結構です。
名前を呼ばなくても、おやつをあげれば、寄って来ます。
どうせ。いつかは必ず死にますから、名前なんかは不要です。
死んだら、係の者が庭に埋めます。
犬たちが死んで、悲しむ必要が?
どうせ捨てられた犬たちです。
本来なら、死んでいました。
でも、今は幸せです。
それで充分ではないですか。
それ以上は、欲張りです。
家族のように接してほしいですか。
大切にできるのは、本当の家族だけです。
新しい家族ができて、元の家族を追い出すのは、本当の家族じゃない。
何があっても最後まで一緒にいるのが、家族です。
置いていくなら、どうぞ。
飢え死には、させません。
ソンギョと幸せな結婚生活を送るためには、断腸の想いで愛犬のルーニーを手放さなければならない。
ルーニーとの別れは切ないはずですけれども。
反面、ひそかに抗アレルギー薬を飲んでまで、ミンスと交際してきたソンギョの気持ちも酌まなければならない。
いうまでもなく、万端の舞台設定をして、出会いからちょうど1,000日目を期してのプロポーズで口説き落としたソンギョとの新婚生活は、もちろん、もちろん待望のもの。
映画の筋立てとしては「さて、ミンスの選択やいかに」といったところなのですけれども。
そもそもが、ルーニーとの「別れ」を段取らなければならない、ミンスの心中にしてみれば、決して楽しい行脚ではなかったはずです。今回の里親探しの旅は。
いかに、その先にソンギョとの新生活への楽しさ(期待)が待っているとしても。
全編を通じてコミカル要素が満載の本作ではありますけれども、そのことを思うと、やり切れない気持ちにもなってしまいます。
そして、ルーニーの引き取り手を探してジンスクと二人行脚を続けるうちに、ルーニーの里親が見つかるどころか、面倒をみなければならない犬たちが次々と増えてしまうー。
(しかも、ある犬については、わざわざお金を払ってまで!)
そんな犬たちの事情にも、胸が痛みます。
けっきょくのところ、「家族」であるルーニーと別れることはできないと悟ったミンスの心根を、ソンギョも、真正面から受け止めたということでしょう。この結末は。
そして、ミンスを想うソンギョの気持ちも、それだけの「厚み」があったということに他なりません。
まるで絵にかいたような(?)ハッピーエンドに、観終わって、心もほっこり。
充二分な佳作だったと評するのが適切と思います。評論子は。
<映画のことば>
ミンスは、優しくて、繊細で、とっても温かい人だと思う。
そうじゃなきゃ、ルーニーを引き渡したはす。この家も手放したと思う。
ミンスは、勇気のある人だと分かった。
だから、これからは何があっても、私たち家族を守ってくれる。
そう感じた。