劇場公開日 2024年6月7日

「実話の重み」あんのこと 赤ヒゲさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 実話の重み

2025年10月22日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

実話が基になっていることがオープニングの字幕にありました。そのことをはじめに知っておく方がよいという判断があったのだと思いますが、私もそのことに共感しました。21歳の香川杏(河合優実)は、母親(河井青葉)から虐待を受け、小学校も卒業できず、12歳から売春を強要され、薬物依存症になっています。そこに救いの手を差し伸べる刑事・多々羅(佐藤二朗)や記者・桐野(稲垣吾郎)らとの触れ合いに安堵したり、でも、一筋縄ではいかない世の中の不条理も真正面から描かれいて、とてもやりきれない気持ちになりました。しかし、これがフィクションではなく、実話ベースであることが重要なんだと思いました。こういう生き方を強いられた女性が実際に現代の日本にいる、今まさにそういう社会であることを他人事で済ませてよいのかという問いかけに思えました。この映画では、その解まで提示しているわけではありません。それは、観た人それぞれがそれぞれの置かれている場所で探し求めていくことかなと感じました。とても重苦しい宿題です…。

赤ヒゲ
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