「話を盛る必要はなかった」あんのこと うまぶちさんの映画レビュー(感想・評価)
話を盛る必要はなかった
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今時、不幸な現実を描いた作品は多々あるが
主役の演技が素晴らしく、よりリアルに、より深く物語に引き込まれた。
ただし、子供を預かるエピソードについては創作らしい。
この手の作品において、事実にさらに不幸な要素をプラスするのは悲劇の盛り過ぎ、エンタメ化に感じる。
確かに子供を最後の希望とし、それを奪うのは一番効果的だろうが、それは安易でもある。
本当に決定的なのはやはりコロナだろうし、そこをもうちょっと掘り下げるべきではなかろうか。
このエピソードが無かったとしても、モデルとなった女性がそれを選んだという重い事実と、それを表現できるだけの力がこの女優さんにはあったはず。
ラストシーンもどういう解釈が正解なのだろう。
自分にはハヤトの将来を暗示しているように見えて最後まで胸糞悪い。
そうでないなら、早見あかりのセリフはあまりにも無責任で軽い。
どちらにしても要らないと感じた。
こういう作品を観ると現代社会に対して悲観的になりがちではあるが、数々のセーフティーネットが存在していることも描かれている。
それを悪用する者や機能不全によって、そこからすり抜けてしまう人々がいることもまた事実だろうが、それを非難するのは安易だ。
実際に福祉に取り組んでいる方々への敬意は欠かさないようにしたい。
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