「河合優実の熱演に圧倒され、ただただ引き摺る」あんのこと しゃらさんの映画レビュー(感想・評価)
河合優実の熱演に圧倒され、ただただ引き摺る
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不条理な現実とどうにもならない社会を描いていてとにかく胸が苦しい。コロナ禍も重なり居場所が失われていくことで繋がりも減っていき閉塞的になっていったあの時期にこの2025年からタイムスリップしたようでそれもしんどかった。
娘のことを『ママ』と呼ぶ気の狂った母を始めとする登場人物がみんなめちゃくちゃな中で、杏ちゃんの根底にある素直さと優しさに締め付けられる。
家庭環境のせいで正常な判断が出来ないのかもしれないが、頼らず、投げ出さずに1人で必死に他人の子供を育てるところに愛情深い人物像が見え、ラストを思うと本当に不条理で苦しい。
『あんぱん』から河合優実さんを好きになり、その繊細な演技力にハマって『ナミビアの砂漠』に次いで拝見しましたが、こちらの方が自分は好きでした。
万引きしようとして思い留まるシーン、多々羅刑事に「大丈夫、大丈夫だから」と抱き締められ嗚咽するシーン、お給料でケーキを買って帰るシーン、利用者さんとのシーン、必死におむつ替えするシーン…書き出したらキリがないですがどれも観る人の心を揺さぶる素敵な役者さんだと思い、河合さんをもっと好きになりました。
しかし母親からの虐待はしんどかった。
福祉施設で働き学校で学ぶことで光を取り戻していく杏ちゃんがとても美しかったです。
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