「どこかにいることを忘れてはならない」あんのこと しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
どこかにいることを忘れてはならない
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第98回キネマ旬報ベスト・テン第10位。
Amazon Prime Videoで鑑賞。
とても苦しくて辛い映画だった。実話ベースの物語だからこその重みが心にずしっとのしかかる。杏の歩んだ悲劇的な半生を体現した河合優実の圧巻の演技に息を呑んだ。
冒頭から辛い。杏の荒んだ暮らしに心が痛む。そんな彼女に差し伸べられた手。見出した生きる希望。観る方も少し心が軽くなる。彼女の前途は明るく照らされ始めた…はずだった。
これは果たしてコロナ禍のせいだけなのだろうか。杏の家庭が機能不全であることが一因なのは間違いない。希望も絶望も知らないから、助けを求めようがなかったのかもしれない。
こんな悲惨なことが現実に起きたのだ。もしかしたら私のすぐ近くでも。衝撃を禁じ得ない。悲惨な現実をまざまざと見せつけられたような感じで複雑な余韻が残る。杏のような人がどこかにいることを、決して忘れてはならないと思った。
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トミーさんのコメント
2025年2月12日
共感ありがとうございます。
コロナでなければ・・は逃げだろうと今なら思えますね。必死に生きる、生かす道を何とか残しておくのは当たり前、もしそれを忘れたら分断どころか勝手に死ねの社会になると思いますね。