劇場公開日 2024年6月7日

「孤独、絶望。信頼できる大人がいてくれたら。」あんのこと villageさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5孤独、絶望。信頼できる大人がいてくれたら。

2024年10月3日
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鑑賞方法:VOD

実話ベースであり、観ていてしんどい映画であることは予想どおりだった。
壊滅的な親子関係と生育環境の中にいる主人公。そこから救うのに必要なのは、一刻も早く母親から完全に引き離すことと、信頼できる大人の存在であったと思う。
ストーリーは大きく分けて、それが叶うと思われた前半パートと、うまくいかずに冷たい現実を突き付けられる後半パートに分かれている。

印象に残ったのは、清濁併せ持つ刑事を演じた佐藤二朗の演技。型破りで有り余るエネルギーが、良い方向にも悪い方向にも振れている役どころだ。結果的に最悪の結末を迎える引金になってしまうわけだけど、主人公を救いたいという思いは、恐らく本物だったんじゃないかな。そういう人間の複雑性や悲しい性を感じさせる演技は、(クセが強くて賛否あるだろうけど)見応えがあった。

最後の余韻を残したいであろう長尺のシーンは、同じく貧困や人とのつながりをテーマにした「万引き家族」を彷彿とさせたが、残念ながらその域にまでは達していなかったように感じた。それは俳優の演技と監督の力量の差かなとも思いました。

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