「「依存」と「支援」について」あんのこと sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)
「依存」と「支援」について
「依存」と「支援」について、様々に考えさせられた。
全てを描かない「余白」のバランスが程よく、「救い」と「救いのなさ」の間で、鑑賞後の今も揺さぶられ続けている。
脱出不可能に思える環境の中、周囲の支援によって何とかよりよく生きる糸口を掴んだ主人公のあん。けれど、その努力を無常に叩きつぶした新型コロナの蔓延。
あの渦中では見えなかったものが、こうして時間をおいて提示されると、全く違った見え方で自省的に迫ってくる。
そのベースには、「シュシュシュの娘」の制作などを通して、コロナと向き合い続けてきた入江監督自身の誠実さがあるからこそだろう。
その入江監督が政府への怒りを露わにした、ラスト近く、窓の外を写すわずか数秒のシーンが出色。
コロナ禍に対して、政府の打った施策がどれ程ピントのハズレたものだったのかを象徴的に描き出す見事さに唸った。
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かばこさんのコメント
2024年8月13日
助けようと思えば助けられたのに、と思うことが多々あり、あんが気の毒というより支援体制が適当で有効な対策を打てていないことに憤りを感じます。
早見あかりの、あんの母とは違うタイプの毒親をわざわざ出してきたところに入江監督の深さを感じました。
luna33さんのコメント
2024年8月13日
共感ありがとうございます。
窓の外のシーンはあまりにもやり切れなくて辛かったですね。社会とは何なのか、社会が果たすべき本当の役割は何なのか、深く心に刺さりました。
今でもあんのことを思い返すと胸が苦しくなります。