劇場公開日 2024年6月7日

「はい!ゴローさん!」あんのこと きーろさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5はい!ゴローさん!

2024年6月21日
iPhoneアプリから投稿

川崎のTOHOシネマズのレイトショー。
年季を感じる据えた空気の中で観る
80年かけてゆっくりと
でも確実にぶっ壊された
我らの住む国、日本のお話。

本当の話をベースにした
ノンフィクション寄りのフィクションは
のっけから飛ばす飛ばす。

シャブ食ってキマッてる演技も
バットで不穏になってる演技も
毒親に洗脳されてなす術もなく従う演技も
他人に少しずつ心を開いていく演技も
生きる意味を見つけて目に力が戻ってくる演技も
拠り所を失って放心する演技も
何より自分に絶望する演技も

河合優実マジで凄過ぎる。この一言に尽きる。

毒親の出てくる映画は最近多いけど
ここまで胸糞悪いのはたぶん初めてで
ベスト毒親オブマイライフって感じ。
我が子を「ママ」と呼び執拗なまでに
彼女の人生を壊しにくる様子に
薄気味悪いを超えてシアターから
逃げ出したくなるほどの恐怖を感じた。

河合青葉マジで凄すぎる。この一言に尽きる。

脇を固める俳優陣も上手すぎるから
物語に没入してしまい
主人公の心の痛みをもろに食らって
最後はものすごい喪失感に襲われる。

刑事の二面生には人間の持つ
利己的な部分と利他的な部分の極端なジレンマを
記者の自己保身の言い訳には
このような事実があることを知っていても
ただ傍観しているだけの私たち観客すべてに対して
居心地の悪さを凝縮させてぶつけてくる。

つまりはだ。ゴローさんお前よ!
お前がしっかり杏に寄り添えよ!
お前の記事が居場所を奪ったんだから!
コロナなんて言い訳にならないからな!
死んでからぐだぐだ言っても
それは自己憐憫でしかないんだよ!
まじで!頼むよ!お前のせいだよある意味!

そしてそうならない人生で良かったと思う
私を含めた観客も最低なんだよな…
どうしたら良いのかは全然わからないから
とりあえず投票に行こう。

というわけで
お金払って嫌な気分になるのは
本当に意味がわからないけど
劇場公開時に映画館で観る映画以外は全部偽物
って誰かが言ってたので
どんな映画も頭から齧って骨まで残さず
しゃぶり尽くしていこうと思った次第。

きーろ