劇場公開日 2024年6月7日

「「可哀想」が際立つ」あんのこと キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5「可哀想」が際立つ

2024年6月9日
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公開当初から評判が良かったので劇場へ。

入江悠作品は何本か観てきたけど、やっぱりあんまり私の趣味とは合わないのかな。

河合優実の演技は光ってるし、「自宅が地獄」っていう残酷なシチュエーションも効いてる。
救いを与えてくれる人は皆途中で退場、地獄だけが向こうからしつこく追い掛けてくる。
思い返せば、あの毒親も自分の母親を守る為に客をとっていたんだろう。
公的な支援や活動も、時には牙を剥き、守るべき弱者から順に襲いかかる。

ただ、作品としては最終的にそんな主人公が「可哀想」に終始してしまった気がする。
多々羅の件もイマイチ腑に落ちないし。(個人的に佐藤二朗が苦手ということもあるが)

ホントなら、あの男の子は彼女が残した数少ない「優しさ」「生きた証」だったはずなんだけど、ほぼ懐いた様子もなかったし。もう少しここの光を描くか、逆にもっと突き放すかしてくれたら、印象は違ってたと思う。
早見あかり扮する無責任な母親にフォローされても「お前が言うな」って感じ。

必死で頑張っても仇で返され、苦しんで苦しんで、それでも闘ってそして…

次は?
行き止まり?

このラストまでが実話なのであれば、もちろん取って付けた様な美談にすることはできないってのも分かる。
でも、「可哀想」で終わるよりは「それでも彼女は必死で生きた」という部分がもう少しあれば。

そんな変なモヤモヤが残った。

キレンジャー