「パンフレットともどもご自身で味わっていただきたい」あんのこと グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
パンフレットともどもご自身で味わっていただきたい
何をどう書いても自分の語彙だけでは、浅薄さと陳腐さの証明しかできない。そんな気分にさせられる強烈な映画でした。
なので、ここ数年ほとんど買ったことのないパンフレットを購入して、映画を深掘りすることにしたのですが、この映画が製作された経緯や関係者の思いがとても丁寧に伝わる記事が満載されてます。
編集はキネマ旬報社、ということはかなり本格的?
全体的に実話ベースの中でシェルターマンションで幼児を預かることになる展開はフィクションとのことですが、これにもちゃんとした理由があります。
社会復帰の過程で『誰かをケアすることで1日1日を積み重ねていけるんだ』と思える経験はたった一度の使用で逆戻りしてしまう薬物に抗うための大きな支えになるのだそうです。
あとは概ね実話ベース(多少の時系列の整理はあるものの)。
本当に存在していたあんの人生を、なるべく本当に辿りたい。
冒頭1ページ目のイントロダクションだけでも、この映画が放つ訴求力の理由が分かるし、関係者インタビューを読めば、それぞれの強い想い(あんは確かにそこにいたし映画を通じてみんなの心に生き続けて欲しい)がひとつにまとまると、こんなにも凄い映画ができるのだということがよく分かりました。
映画レビューというより、パンフレットの宣伝みたいですが、かなりのお勧めです。
あ、かなりのお勧めというのは、パンフレットのことで、映画は今年の邦画で間違いなくベスト級!必見です!!
本当にそうですよね。
うんざりするような話が毎日更新されて忘れ去られていく。
そんな社会に埋もれて慣れて個人の判断も曖昧になる。
でもやっぱりそれではいけないのでしょう。
まずは現実を知ること、考えることをやめてはいけないなと改めて感じています。