雪山の絆のレビュー・感想・評価
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死者にも語りたいことがある
昔、イーサン・ホーク主演の『生きてこそ』を観ていたことを思い出した。当時のハリウッドの商業映画なので、あんまりえぐい描写を持ち込まずに感動的なヒューマンドラマとして組み立てていたと記憶しているが、今度の作品は役者も無名の人ばかりで現地語のスペイン語で撮影し、過酷な状況を過酷なままに描き出すという方針で作っている。自然の脅威を強烈に打ち出し、人間の存在の小ささを思い知らされるというか、とにかく過酷な状況がずっと続く。最終盤で登場人物たちがガリガリに痩せているんだけど、あれはどこまで実際に痩せさせたうえで撮影したんだろうか。 死者の肉を食べて生き延びたことをどう描くかが、やはりポイントとなるが、敬虔なクリスチャンの多い遭難者がそれを語り合うシーンは見どころだ。神の教えに背いたことなのかどうかの議論を交わすその姿に、人にとって信仰とは何だろうかと考えさせてくれる。ああいう極限に陥った時こそ、信仰について人は最も深く考えるのだろう。 生存者ではなく死者にナレーションをやらせているのもいいアイデアだと思う。生き残った人々に注目しがちだが、これは生き残った人だけの物語ではないのだ。
雪山に投げ出されても屈しないラガーマンたち
1972年10月13日、ウルグアイのラグヒーチームと家族、サポーター、友人、総勢45 人を乗せてウルグアイから遠征先のチリに向かったチャーター機が、悪天候の影響で尾根に激突し、氷河を滑り落ち、大破。"アンデスの悲劇"または"アンデスの奇跡"と呼ばれ語り継がれるこの航空機事故の詳細を描く映画は、雪の白さが太陽に反射して機体を見えなくしてしまったり、アンデス山脈のまるで波のうねりのような山々が捜索を困難にしたり、雪崩が襲いかかったり、生存者を飢えが苦しめたり、等々、絶望の連続過ぎて観ている側も息が絶え絶えになる。 しかし、ラガーマンたちは屈しない。大破して壊れた機体から機材を外してその中で過ごせる空間を作り上げた彼らは、外に吹き飛ばされた怪我人を運び入れ、遺体を搬出し、雪を溶かして飲み水にし、飢えを凌ぐために究極の決断を下し、落下地点にあるはずの無線を探して旅に出る。 これは、人間が死と向かい合う時に、どれだけ仲間を思いやり、そうすることで人としての尊厳を保つかという、プライドとサクリファイスについての物語。孤高のサバイバーを描いた作品にはない、チームワークの凄さが深く胸を打つ。 だからこそ、生還した16人の向こう側に散って行ったチームメイトの面影が浮かぶラストシーンでは、堪えていた涙が一気に溢れ出るのだ。
Survival at the Crudest Form
Whenever you have a bad day, just remember, you weren't on an airplane that hit a mountain and sled down into a glacier crushing your friends and subsequently you had to live in subzero temperatures with just a jacket and then forced to eat your siblings and parents before buried under an avalanche and then finally after two months climb across the mountains with the hopes of finding a telephone.
カニバリズム
2024年4月16日 #雪山の絆 (2023年)鑑賞 ウルグアイのラグビーチームを乗せた飛行機がアンデスの雪山に墜落し、乗客乗員45名のうち極寒でのサバイバル生活を生き延びた16名が生還を果たした事故 カニバリズムの代表的な事件と言えば、これか #ひかりごけ いつも、自分だったらと考えてしまう
凄まじい実話
有名な航空機事故、様々な葛藤と極限のサバイバル劇を描く。墜落の描写はリアルで飛行機怖くなる。そしてアンデスの雪山は大迫力で怖く美しい。 エンディングはもう少しシンプルな構成でも良かったか?関係者へのオマージュも忘れていないが、当時の画像もリアルに含まれているのか?劇中の写真と区別が付きづらくモヤっとする。
生へのエネルギー
とても良かった。 悲惨な状況のサバイバル映画だけど、 決して諦めずに生へのエネルギーに満ち溢れてて、 これが最悪なら自分はまだまだ大丈夫。 やれる事がたくさんあるぞ! と前向きになれる映画でもありました。 実際はかなり過酷だったと思うけど、 ラグビー部と言う体育会系の熱い絆で励まし合い 生きて行こうとする姿はこれ以上ないスポ根映画でも あるなと思いました。 ヌマのラストの演出がこの状況が如何に過酷であったかがよく分かりました。 絆がどこまでを指すのか、それは人それぞれだと 思うけど、乗客や仲間を食うと言う決断と それをした事でこいつの分まで生きようとする想いは これ以上にない本物の絆だと思えました。 この経験が何を意味するかは分からないけど、 経験を活かすのは自分次第だと言う締め括りに、 彼等がこの後素晴らしい人生を送ったであろう事を 願わずにはいられませんでした。
生き詰めた所にあるのは愛という希望
恐らく私が生きて死ぬまでに到達することのない強烈な愛がこの映画にある。 ただ、最初からほとんど最後の方まで、あまりにも過酷で、目をそらしたくなるほど壮絶なので、当然不快感を強く感じる人も多いと思う。 冒頭のショッキングな墜落シーンは、交通事故の映像を見ていて苦しくなってしまう人なんかには到底耐えきれないはず。 私も終始苦しさを覚えてばかりだったが、絶望の淵にも愛だけは灯っていた。 2時間半、この映画をみて、不思議なことに彼らと共に同じ時を過ごしたかのような気持ちになった。 それは恐らく、彼らの家族や恋人、大事な人がどこかで心配しているシーン等に切り替わらなかったからだと思う。 彼らの現状にだけ集中できたからこそ、壮絶な状況の中にある束の間の冗談を彼らと同じように笑うことができた。
友のために命を捧げるほど偉大な愛はない‼️
1972年にラグビー選手団を乗せたチャーター機がアンデス山脈に墜落した実話を映画化した作品‼️「永遠のこどもたち」「インポッシブル」「怪物はささやく」のJ・A・パヨナ監督がパニック描写や人物描写において本領発揮、見事に恐竜映画の続編の汚名返上に成功しています‼️乗客同士の絆、吹雪や雪崩などのパニック描写、飢えと寒さで極限まで追い詰められた心理状態、人肉を食うかで葛藤させられる人間性など、実に見ごたえのある内容‼️終盤、チリに向けて出発していたナンドとロベルトが地元の羊飼いに発見され、ラジオでも大々的に報道されて、感動のクライマックスへと突っ走る‼️生きてることの素晴らしさ、家族との再会、帰還した者たちのその後も続く絆など、エモーショナルに締めくくられるわけですが、私は終盤に向かうにつれてチョットだけシラけてしまいました‼️雪山で遭難中の描写や展開は素晴らしいと思うのですが、待ってる家族の心配する姿などが描写されないので、イマイチ再会シーンが胸に迫らない‼️加えて原作に沿った展開だとは思うのですが、人肉のおかげで帰還した登場人物たちはその後どういう人生を送ったのか⁉️罪悪感は残らなかったのか⁉️世間からの追求はなかったのか⁉️果たして本当に無事に帰って来れた、生きてるって素晴らしいというだけで終わって良いものか⁉️実話と言いながらも脚色されているような印象があります‼️まぁ、ないと思いますが、登場人物たちのその後が、どんな媒体でもいいので描かれることがあったら面白いんじゃないかと‼️やっぱり私がこの作品を観てこんな感想が湧いてくるのは、天才・市川崑監督の「野火」や熊井啓監督の「ひかりごけ」を観て、衝撃を受けた過去があるからだとは思います・・・。
生きることを諦めない
飛行機事故による雪山での遭難から、16人が72日間に及ぶ山中でのサバイバル生活の末に生還した実話を描く本作。 結末は分かっているのに、それでもこれで生存者がいることが不思議なくらい壮絶な描写が続きます。苦しい。先が見えない。考えること、生きようとすることを諦める方が簡単に思える状況でも、彼らは生きようとし続けた。 信仰心があったから?仲間と共にいたから?彼らも普通の人のはずなのに、理解を超える精神力に脱帽。 とにかく辛い2時間。見事でした。
71日目の奇跡
人としての尊厳をも揺るがす、 飢えと寒さに耐え抜き、 生きることを選んだ16人の絆。 シンプルに生き延びられた奇跡では無い物語。 英雄?ヒーロー? そんな言葉で簡単に語れるものでは無い。
生きる
アカデミー賞国際長編映画賞にノミネート 今から50年前の1972年に起きたウルグアイ空軍機墜落事故、 実話の映画化です。 チリに向かうラグビー選手団45名の搭乗した機はアンデス山脈の 氷河に墜落。 29名が生き残ったが、怪我の悪化で亡くなり更に雪崩が追い討ちを かける。 雪崩で亡くなり生存者は19名程になってしまう。 食料は尽きる。 そして彼らがとった行動は亡くなった友人たちの遺体を 食べることだった。 5度目の映画化とのこと。 アンデス山脈は美しくそそり立ち気高いほど美しい。 山と山、尾根と尾根の隙間の僅かな空間に墜落した機体。 大雪原でクギ一本を見つけるように発見は無理でした。 60日近く経った日に与力の残っていた3人が下山を決行する。 一人は怪我で引き返して、二人はただただ歩く。 麓を目指していくつもの頂を超えてひたすら歩く。 10日間の命をつないだ食糧は、やはり仲間の肉片。 噛んで噛んで噛みしめて命を繋いだ。 チリの麓の緑に羊飼いがいた。 16名が助かった瞬間だった。 アンデスの山々は物言わず、ただそびえていた。 スペイン映画の巨匠J•A.・パコナによる構想から10年。 原作執筆から15年後の完成である。 極限の絶望の中で生き残るための61日間の戦い。 ラストでチリの羊飼いに出会う場面は、 ただただ嬉しかった。
ひかりごけ
どこまでリアルなのかは、 わからない。 ただ目が離せない。 実話ベースとはいえ、 描き方の技術が高い。 セリフをナレーションのように、使いながら、 展開するカット、シーンは、 淡々と進行する。 美しすぎる星々、 そびえるアンデスが うらめしい。 マイナス20度の北海道で、 撮影した事がある。 本作は極寒の地で、 撮影していない事はわかるが、 演出、撮影、照明その他の、 技術が高いので気にならない。 また、別の作品、違う時期場所で、 ロケハン中に3時間程度、 10人弱で、 濃霧で、遭難に近い状況になった経験もある。 たかだか3時間程度でも、 道も状況も先が見えないのは、 かなりの極限状態になる。 その状況で、 日数を重ねる、 あるいは、 重ねている、 想像を絶する。 何キロも移動していたつもりが、数十メートルの同じ場所を、グルグル回っていた、、、と後でわかった。 『ひかりごけ』の三國連太郎の表情を思い出す。
人間ってすごい
1972年に起きたウルグアイ機のアンデス山脈への墜落事故。 実話をもとにしたこの映画。 72日間も生き延びた人々の精神力の強さ。 極限状態で色んな困難に立ち向かい 色んな葛藤もあり、もちろん死への恐怖もあり 仲間の死も目の当たりにする。 人間ってすごい。 諦めない心は仲間がいたからずっと持ってられたと思う。 145分の作品は終始辛かったけど、ラストは感動した。
1972年アンデス飛行機墜落事故
1972年に起きた飛行機墜落事故の映画化は過去にもあったが、果たして・・・。 懸命な捜索にも関わらず、アンデス山中ということもあり、発見されなかった。 しかし、二ヶ月近く経った頃、生存者が発見され、世界的なニュースとなった。 どうして食料もない環境で・・・となった。 自分だったらどうしよう・・・。
実話に基づくということで、現実離れしすぎでしょというツッコミに逃げ...
実話に基づくということで、現実離れしすぎでしょというツッコミに逃げられない過酷さ。 事故のシーンがとにかく怖かった。飛行機に関しては、年始にもありましたのでね。 友達の死体を食って生き延びるか問題も、凄まじかった。
想像を絶するハードな作品だった
「インポッシブル」「ジュラシック・ワールド 炎の王国」のJ・A・バヨナ監督作。母国語であるスペイン語の作品としては「永遠のこどもたち」以来14年ぶりとのこと。 1972年にアンデス山脈の奥深くで実際に起きた飛行機墜落事故に基づく。 厳しい作品だった。 極寒の雪山に墜落、次々と死んでいく人々。 生きるために信仰もモラルも捨てた。 てか、こんな惨状、思ってもみなかった。 塚本晋也監督の「野火」を思った。 生きのびること以上の正義はないのだろうが。
底知れないヒューマニズム
ウルグアイ空軍機571便遭難事故を扱った映画。 監督はゴヤ賞常連の名手J.A.Bayona。 Netflixの前告知を見たとき「あの事故をまた映画化したのか」という感じで意外な気がした。ウィキペディアで調べるとドキュメンタリーを含め5度映画化されていてこれが6度目になる。衝撃の実話ゆえモチーフにされやすい、とはいえ再々な感じは否めなかった。 ただし見始めるとすぐに疑問は吹っ飛ぶ。 むしろ「ウルグアイ空軍機571便遭難事故の真実」という感じ。 リアリティに徹しており、事故の壮絶さをほとんどはじめて知った。 imdb8.0。批評家からも支持され、すでに多くのレースでノミネートまたは勝利している。 昭和期はこの墜落事故を猟奇色で釣るのが主流だった。 つまりアンデスの遭難事件はVHSレンタルだったならルチオフルチとかマリオバーバの隣に並んでしまう映画だった。 それがこの雪山の絆を見たあとでは不謹慎に思える。 文字通り死者の肉が生者の命をつないだのであり彼らにほかの選択肢はなかった。が、映画が描き出すのはカニバリズムではなく、遭難者たちの底知れないヒューマニズムだった。 極寒の雪山で遭難し救援が絶たれる。 死者を食べながらいくつかの助かりそうな方策を試す。 雪崩がきて生き埋めになる。 ひとりまたひとりと死んでいく。 72日間。 果たしてそういうところでじぶんは正気を保てるんだろうか──と考えてしまう。 折しも地震があり、今なお瓦礫の下に行方不明者が何人もいる状況下、何か出来ることはないのだろうかと気があせる。何もできないのに気はあせる。もしじぶんの身に起きたなら──という仮定をしてさらに気があせる。 ──そんな気分が雪山の絆を見ているときにもあった。 遭難者たちは皆、思いやりがあり慈悲深く、食べ物を分け合い励まし合い、協力連携しながらサバイバル生活をやりとおす。ときに談笑することさえあった。秩序を乱す者なんか一人もいなかった。 若く体力的な優位性もあったにせよ、内面がまるで聖人のごとくまっとうだった。それらは脚色だろうか。いや、16人が生存したのだ。存命者が監修に入っているのだ。 『製作者たちは、生存者全員との100時間を超えるインタビューを記録した。俳優たちは生存者や犠牲者の家族と接触した。』 (Wikipedia、Society of the Snowより) だから余計じぶんにそんなことができるんだろうか──と考えてしまった。 リアリティと相まってトラウマチックな映画体験であり、比較するものではないが、ホラーなんかよりはるかに恐ろしい。と同時にじぶんを戒めたいような気分が沸き起こる。そんな状況でみんなと強調し扶け合いながらじぶんはやっていけるんだろうか・・・。そういう状況になったら彼らのようでありたいと思った。
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