「繰り返す物語」劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:Re: M.Nさんの映画レビュー(感想・評価)
繰り返す物語
劇場総集編ということで、単純にストーリーを振り返るという意味で「Re:」「Re:Re:」かと思ったのですが、最後に一気に時間が巻き戻って、テレビ版一話冒頭(アバン)で示されたぼっちの場面で終わり、また初めから物語は…、という締め方であったと思います。今更のように思い出し、個人的にお気に入りのシーンだったので書きました。
テレビ版だと、ぼっちが落としたボールがそのまま次シーンへ移行し、弁当の梅干しに変わるという演出でしたが、今回は、落としたボールが他のボールに行く前に止まり、そこでエンディングが流れるという演出だったため、余計にぼっちの持っていたボールと、他のボールとの距離感を強調した終わりに見えました。
このボールを、ぼっちそのものに見立てるのか、はたまたメタ的にぼっちに共感する私のような人間に向けているのかはその人次第ですので自由ですが、私はどちらの多層的な意味を持っているようにも思え、物語的には「ぼっちの物語はこれからの続いていくし、根本的な人との距離はまだまだこれくらいです」とも取れるし、もう一歩(?)踏み込むと、「他人との距離感って、実は大体割とこれくらいかも」ということにも思えるし、もっと単純に「またここから繰り返すので、もう一度Re:観てね。Blu-rayも買ってね」という興行的な意味と取ってもいいな、と思いました。
また、エンディングが「僕だけがいない街」の主題歌だったとのことなので、繰り返し孤独になるぼっちの物語を楽しんでね、ということなのかも知れないな、とも思いました。
何であれ、物語に何が正しいということはないと思いますが、個人的にはここが学際シーンの次に楽しかったです。
ストーリーは前編と同じくテレビ版をなぞっているので、テレビ版を始めて観た時ほどの面白さは感じなかったですが、それを込みで観に行ったただ結束バンドを大画面で観たい、という欲求だけだったので、それだけで料金分は十分にもらえました。