「空虚な人生は埋められない」めくらやなぎと眠る女 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
空虚な人生は埋められない
2022年。ピエール・フォルデス監督。村上春樹のいくつかの短編をつなぎあわせてひとつのドラマにしたアニメ―ション。震災後に妻が家を出て行った男(村上春樹に見える)はその穴を埋めようと有給休暇を取得して実家に帰ったり旅をしたりする。一方、同じ職場のさえない男は帰宅すると巨大なカエルがいて、「東京を救う」ための戦ったくれと求められる。
見ていてつくづく思い知ったのは、村上春樹作品の本質的な要素。
①本当の物語は自分ではなく身近な誰かの身に起こる。
②その物語を自分のものにする機会が生まれるが失敗する。
③結局、人生の空虚さを抱え続ける。
このところ手をつけてない村上作品の本質を思い出させるくらいよくできているということだろう。アクションやスピードよりも省略や暗示、ほのめかしが特徴。
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