本当に遠い所
2020年製作/115分/韓国
原題または英題:A Distant Place
2020年製作/115分/韓国
原題または英題:A Distant Place
兎に角、人間関係がいびつで複雑。中年男のジヌと姪の4歳のソルは訳あってソウルから離れ山に囲まれた江原道の牧場にやってきて、牧場主のジュンマン、彼の娘ムンギョン、そして年老いた母親の一家に家族同然に受け入れられ、羊たちに囲まれ幸せ暮らしています。ファミリードラマに食卓シーンが多いのは国を越えた定番ですかね。
ソルはジヌのことを何故かママと呼びます、後に分かる同性愛者への伏線でしょうかね。村の教会で詩を教えるヒョンミンはジヌの大学時代の同窓生で恋人、「遠くに行きたいね。ここからずっと遠いどこかに。外国の牧場で働こうか。いつか二人で牧場と宿を経営したりしてさ…」、そんな夢物語を話す二人でした。
何故かソルを産み落として去ってしまった実の母でジヌの妹のウニョンが現れ必死にソルを育ててきたジヌは、自分勝手な妹とは険悪、ちょっとしたいざこざから妹は地元の人たちの集まる場で兄とヒョンミンは同性愛者と暴露。村人から蔑視を浴び、ジヌに苦言を呈されたヒョンミンも立ち去ります。幸い無事でしたが突然のソルの失踪は何だったのでしょう、気を揉ませるだけの演出としたら怒りたい。
折角、過去から逃げ穏やかに暮らしていたジヌには突然の崩壊、ヒョンミンの語る詩の「本当に遠い所」も夢の理想郷ではなく、日々崩れてゆく絶壁に囲まれていると言っていましたね。同性愛者に差別的な田舎の村、ある種、現代の社会問題への提訴のような映画にも思えますがどうでしょう。それとも、突然、訪れる安穏とした日常生活の崩壊、さて、あなたならどう生きるかがテーマでしょうかね。