「No Me」NOCEBO ノセボ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
No Me
オンライン試写会にお誘いいただき鑑賞。なんだか公開前の新作を家のテレビの画面で観れるってなんだか背徳感があります。
「ビバリウム」制作チーム再集結な時点で、相当いや〜なもの詰め込んでるんだろうなと思ったら、まさにその通りで、そこに社会派な要素を混ぜていて映画の完成度としてもホラーの面白みとしてもいくところまでいく傑作になっていました。
ダニだらけの犬を見てしまい、そのダニに噛まれてしまったクリスティーンが幻覚や謎の症状に襲われて悩んでいるところに、雇った覚えのない使用人のダイアナが来て、生活が少し豊かになったかと思いきや、ダイアナの怪しげな行動が悪い方向へ向かっていき…みたいなあらすじです。
ダイアナは最初から怪しさ全開でしたが、家族の一人一人が信頼を寄せていくたびにどんどん不穏な雰囲気にしていき、家族の仲までも引き裂いていこうとする姿はなかなか恐ろしかったです。
謎の祈りをし続けているというところから、今作は人と人との問題が最悪の形になって降り注いでいくんだなぁとザワザワしながら観ていました。
今作で最も絶叫しそうになったところはやはり犬くらいのサイズの巨大ダニが徐々に徐々に近づいてくるところではないでしょうか。
虫が巨大化ってだけでも失神しそうになるのに、豆粒サイズでも脅威なやつが殺しにかかってきて、顔にまで飛びついてきてなんて…ゾクゾクしました。
無意識にしてしまっている人種差別というところにもフォーカスを当てていて、労働環境を改悪してしまい、それ故にダイアナの子供が火事に巻き込まれてしまった復讐を果たすという個人的な恨みが死まで直結してしまうシナリオはかなり痺れました。
火事の中延々回転し続けるカメラワークに絶望の表情、そして延々をミシンを使い続けるというジェットコースターのような映像はハラハラしました。クリスティーンの死体も見事焦げまくりでインパクトが強烈でした。
ダイアナが次の継承者のために自殺し、しかも口から出た雛がボブスの口の中に入って能力が受け継がれる、クリスティーンの死体を見つけて骨折したフェリックスは絶望とかいう何も救いのないエンドは逆に清々しくて素晴らしいなと思いました。
今年観たホラーの中でもぶっちぎりで良かったです。久々に「ビバリウム」も観たくなりましたし、このチームの次回作も観たいな〜と思いました。
鑑賞日 12/19
鑑賞時間 20:00〜21:37
鑑賞方法 オンライン試写会にて