「宝石の様な小説を読んだ感じ」Winter boy talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
宝石の様な小説を読んだ感じ
リュカは顔をこちらに向けて語る。誰に向かって語っているんだろう?お医者さん?友達?ママ?いや、違うなと途中で思った。考えていたこと、思い出したこと、見たこと、聞いたこと、今考えていることを整理したり過去に戻ったりしながら言語化しているんだと思った。だから彼は一人で語っている、自分のために。
将来への不安、家族に申し訳無いという思い、自分はなんなんだ?思春期の心の中は嵐でそんなとき、いきなり家族を亡くしたら心も頭も整理がつかない。
親友オスカーがいて、ママがいて、一人立ちしてアートの世界で頑張ってる、一足先に大人になった兄がいてよかった。その兄のおかげでリリオに出会えた。リリオの思いはリュカの不安定な心と重なってることがわかった。
人種差別、移民差別、学歴差別、職業差別、性差別、同性愛差別の中で生きるのは地獄だ。でもそれでも前を向いて生きなくては。いつもスカッとした気持ちでいなくていいんだ、悩んだり、落ち込んだり、叫びたくなったり、暗くなっていいんだよっていう言葉が、リュカの天使みたいな笑顔と苦しみを通して私にも伝わってきたみたいだった。
talisman さん、拙レビューへのコメント、ありがとうございました。
不安定に揺らぐリュカの無軌道ぶりには冷や冷やさせられましたが、兄とリリオが本当に自分のことしか考えないタイプの人ではなく、リュカ本人のことを先輩として親身に考える人たちで救われてましたね。特にリリオの存在は、リュカがまだ直面していないゲイとして、黒人として社会で生きることの現実を見せてくれていました。いつか、それがリュカにもわかればいい、と決して自分の主張を押し付けようとしないあたりが大人だなぁと感心しました。
去年から今年の頭辺はめちゃくちゃ多かったイメージです。
私は特に偏見はありませんが、そもそもが恋愛映画が苦手なもので、ゲイを推した作品は結局のところそれが強いイメージです。