劇場公開日 2024年5月3日

「試写会にて鑑賞。また観たくなる映画。観て欲しい。」青春18×2 君へと続く道 れいさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0試写会にて鑑賞。また観たくなる映画。観て欲しい。

2024年5月3日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

単純

幸せ

試写会にて鑑賞。

安達奈緒子さん脚本、透明なゆりかごを観て以降、清原果耶さんが好きで、今回主演ということで、ぜひ観たいと思い、試写会に応募しました。

予告から既にストーリー(結末)は想像出来るもので正直、そこまで期待値は高くありませんでした。旅先の台湾で出会って恋に落ちて、みたいな。

ただ、ストーリーがありきたりでも出演者陣が豪華(特に黒木華さんが楽しみで)だったので、清原さん含め、皆さんをスクリーンで拝むことが出来れば、まぁいっか、くらいの気持ちでいました。

そして、いざ鑑賞。

観終わったすぐの感想を言葉にするなら、夏のじめっと肌にまとわりつくような夜気、じんわり暑さが体に染み込んでくるような、滲み出た汗がでこ(額)をつたうような、なんだか表現がすごく難しいですが、そんな感覚がありました。
(舞台が台湾だから余計かな)

すぐに、またあの世界観をもう一度観たい。ジミーとアミをもう一度感じたい、と思える期待以上の作品でした。

もちろん、ありきたりと言えばありきたりで展開のオチも分かりやすい為、ハマらなそう、期待値より低そう、と思ってらっしゃる方もいるかとは思いますが、(自分は予告でそこまで刺さらなかったので)それだけで観ないのは勿体無い。映画や旅行が好きな方には、おすすめです。

映画の限られた時間の中にも関わらず、ジミーとアミの人生を色濃く感じることができ、とても丁寧に繊細にうまく繋がって、まとまっていました。

とにかく、情景(撮り方)が美しい。映像がとにかく綺麗。儚い。台湾各地や、日本各地(福島、新潟、長野、東京、神奈川)でロケしており、移り変わる場面に目が楽しい。フィルムカメラのような質感も感じ、特に台湾はランタンや街中の風景含め、とても綺麗。風景を楽しんだり、映像の撮り方を学ぶ為だけに観るでも価値はあるかと。

今回この映画で初めてジミー役のグァンハンさんを知りました。この方の18歳と36歳の演じ分けが素晴らしくて、、。実年齢33歳なのに高校生役なんて無理があるんじゃ?衣装がコスプレぽくならない?なんか没入感薄れそうな、、。なんて心配していた自分が恥ずかしくなりました。違和感なく、引き込まれてしまってました。完全に、グァンハンさんが年下の高校生で清原さんが年上のお姉さん。実年齢を超えて歳が逆転する事あるんですね。アミを前にした高校生ジミーの照れ方や態度、話し方、言葉。あれは完全思春期男子高校生でした。甘酸っぱい恋ってこーゆーことよな、、。とピュアな気持ちが蘇る。
直近でドラマEye Love Youのジョンヒョプさんを観ていた為、アミとカタコトで日本語を話すジミーが重なり、より可愛らしさが個人的には爆発でした。イケメンが拙い日本語を話す姿がとてもいい、と思ってしまった。

作品の都合上とかなく、ジミーとアミの日本語のやり取りもちゃんとカタコトで、言葉をお互いきちんと理解しきってるって設定じゃなかったのも違和感無くて良かったです。言葉は通じなくても何とかなるとは、この事。ただ、清原さんとグァンハンさんは2ヶ国での作品撮影でスタッフ、監督、と言語の壁は大きくあったでしょうから、大変だったのだろうな、と思いました。しかしながら、そんな事は全く感じさせず、清原果耶さんとグァンハンさんの演技がとてもナチュラルで観ていて、とても穏やかな時間が流れている気持ちになれる。不思議。

劇中では、映画ラブレターの話や、ミスチル、スラムダンクの話などもある為、観たり聴いたりしてから映画を観るのもおすすめ。

台湾が舞台と言う事もあって、旅したくなるし、人と人との出会いを求めたくなる。もう2度と出会う事のない人に会ってみたくなる。人と人との出会いは奇跡だし、運だし、縁。偶然なのか必然なのか分からない出会いが積もって人生になっていくんだな、としみじみ感じた。

自分はまだいけるんじゃないか、何者にでもなれるんじゃないか、今からでも遅いなんてことないんじゃないか、と勇気をもらえる作品。中高生とか20代前半には少しこの感じ方がまだ分からないかもしれないけど、人生の分岐(アラサー)の年代以上の人には、少なからず刺さる気がする。

やはり出演者陣は豪華。
皆さんの出演時間が想像していたより遥かに少なく、全体で見るとほんと一瞬で、拍子抜けしました。皆さん、あのシーンを撮る為に現地へ赴き、それぞれ撮影されたのかと思うと、とても贅沢なキャスティング、、。

道枝さんはセカコイ振りのスクリーンで、透くんを思い出しましたね。ふわふわの髪型も相まって完全に雪で戯れるワンコでした。笑顔が印象的で可愛らしい。出演時間は10分あったかな?ほんとに一瞬。場面カットもあったけど、、映像としてはファンの方は確実に物足りないかも。雪がまぁお似合いで、JR SKISKIのCMとポスターかと思いました。

黒木華さんはもう本当大好きです。
何でこんなにも日常を切り抜いた演技がすごいのか、、。リップヴァンウィンクルの花嫁が観たくなりました。運転シーンも含め、一瞬でそこにいた。って感じがする。ただ1つ、すこーしだけ気になったのは、PCでゲームをやってた事。ネカフェとは言え?暇な店員ならスマホ(アプリ)でゲームしない?スマホのギガ気にして店のPCを使ってた?それともPCでしか遊べないゲーム?なんて野暮な事考えちゃって一瞬気が散った。あと、これはやっぱり映画お決まり展開、ジミー開発のゲームだったって事は目を瞑ろう、、。
見返り云々のない真っ直ぐ相手を思う優しさって大切な事だけど当たり前にはなかなか出来なくて。でもそれを車で連れて行ってあげるシーンで表現してて。YOUは何しに日本へでよくあるやつだなー、と人のあったかさが感じられて、心がぬくぬくした。日本に来ている外国人に自分も優しくありたいな、と思える気持ちにさせてくれた。

黒木瞳さんと松重豊さんの哀愁がとても切なく苦しい。だけど、、すごく気になったのは、福島の只見なのに(軽トラも会津ナンバー)そしてずっと只見に住んでる設定なのに、2人に一切の訛りがない事。(笑)
これには、あれ?と大いに違和感を感じましたが、、この一瞬の出演の為に撮影地まで来てもらい、お2人に方言の訛り指導までは要求出来ないよな、、と映画を観ながら一瞬で勝手に納得。(笑)
個人的には残念でしたが、仕方ない。

また長野での出会いも、これまたうまいこと台湾と言う設定でしたが、これは人と人との出会いの縁と言う事でそこまで違和感は感じずでした。

エンドロールが流れていく中、ミスチルの主題歌の歌詞が深くて、映画にリンクしてて、歌詞がとても素敵。分かり味が深い。そしてまた、ジミーの気持ちをおもって胸がギュッてなる。ミスチルファンの方にもぜひ観ていただきたい映画です。

イヤホンの半分こ。(電車での場面カット)これもまた懐かしさが込み上げて。ワイヤレスが主流になってるこの時代、有線がエモさを倍増させるなんて。平成の良さを感じました。

ジミーのアミを想う気持ちが初々しくて、可愛らしくて。ジミーの初恋故に、あれからずっと彼の心の中にはアミがいたんだな、と胸が苦しい。ただ、あれからアミに会いに行けたのでは?などと、少し思ってしまいましたが。それは展開的に仕方ないのかな。アミの強がりの彼氏設定もあったし。(ジミーと真逆のやつ)一応、アミの帰国後、大学生になったジミーがアミに会いたいって国際電話をかけて伝えるもののランタンの約束がある為断られ(のちにこれとは別に会えない理由がある事が分かりまたツラい)で、ジミーの純真無垢な高校生には、ランタンでの約束は、よほどインパクトが強かったって事かな。行動には一応起こしてたので、ひと夏の恋で終わりじゃなくてよかったジミー。ただだからこそ、初恋を拗らせた感は否めないけども。いや、美しい物語だけども。最後、アミのところへ訪れた事によって、一区切りついた感じは良かった。アミのことも仕事のことも心機一転して前を向いている最後。悲しさに引っ張られず、前向きな気持ちで観終えることが出来て、自分は好きでした。

ジミーとアミの出会いややり取り、デートやランタンを飛ばすところ、お互いの気持ちの揺れ、などなど、、沢山いいところはあるのに言葉で表現するのはなんか違くて。形にしたくない気がしてしまう。でも、ただただ大切にしたいと、出会えて良かった、観て良かった、と感じた作品でした。

自分は、ジミーとアミの出会いから別れが一瞬にして走馬灯のように思い出されて、、あのシーンでポロッと泣きましたが。オチが分かってる故に、泣けなかった。なんかあそこで急に冷めた。なんて方も中にはいるかも。

アラサーと呼ばれる年齢になると、、恋愛(結婚)相手に求める理想語っても、いい年してなに夢見てんの?痛いよ?現実見なよ。とか、いつまでそんな事言ってんの?中学生?もうアラサーだよ。時間ないよ。タイムリミットはすぐそこ。現実見なよ。なんて言われちゃったり思われちゃうから、、リアルでは口が裂けても言えないので、ここで言わせて頂きたい。

綺麗でピュアな恋したい〜〜。

です。

キスもセックスも好きもなくても記憶に残る恋、忘れられない恋ってあるんですね。人生でこの経験を出来なかった事が悔やまれます。来世はビー玉のような恋をするのが目標になりました。来世ミジンコにならないように、今から徳積みのゴミ拾い。頑張ります。

この映画は、夜の時間帯に鑑賞するのがオススメ。観終わって夜風にあたったら、きっと早い夏を感じると思います。

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れい