劇場公開日 2023年12月29日

「イーライ・ロスのフルコース」サンクスギビング Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5イーライ・ロスのフルコース

2024年3月17日
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まず思ったのが「マチェーテ」もそうだが未だに「グラインド・ハウス」のフェイク予告を映像化するのかという事だ。確かに面白い企画だったし、こちらもテンションが上がるものだが、製作サイドはよほど気に入ったのだろう。さて、イーライ・ロス久々の作品はR-18+指定のスラッシャー・ホラー。ド定番だろうがこれは彼のフルコースを味わえる作品になりそうだと鑑賞前から期待大でいた。
感謝祭(サンクスギビング)で起きた地元の大型スーパーマーケットでの大惨事。大特価のワッフル焼き器を巡って人が押し潰され、腕をへし折られ、頭皮がめくれて血が吹き出して死に…(そんなバカなと思うがどんな状況でもイーライ・ロス節が大炸裂!)という事件から1年後が舞台となっている。
まぁここでその復讐なのだと誰もが気付くだろうが、不死身のジェイソンだったり夢で暴れるフレディの様な超人的な能力を持つ連中ではなく、犯人も生身の人間であることから妙な怖さがある。主人公らも犯人から追われる身となる訳だが、その中での攻防戦は中々スリルがあって面白く、サスペンスフルな犯人探しも良い。時折怪しい人物がそれっぽい行動をする為、こちらも誰だ誰だと探しながら観てしまうが、意外な伏線だったりがある為良い意味で裏切られる形であった。電ノコに女の子が巻き込まれて腸をぶちまけて絶命するシーンだったり、体が真っ二つになったり等のド派手スプラッタ演出もあれば、イーライ・ロスのド定番、「視覚的に痛~い描写」がやはり健在。コンタクトレンズだったり、綿棒でさえも手にじとっと汗をかく様な感覚を覚える。犯人の意外性だったり、サスペンス要素、スプラッタとしての見応えも十分であり、スラッシャー・ホラーの教科書としても観て良いくらいだろう。時折登場するブラックユーモアも相まってハイレベルなホラー作品となっている。全米での興行収入も上場だった様で、続編等も有り得るのでは?と個人的には期待していたりもする。やはりイーライ・ロス作品には外れが無いと改めて思わされた。

Mina