「革新的・斬新な新時代の映画手法!」王国(あるいはその家について) ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
革新的・斬新な新時代の映画手法!
びっくりしました。
冒頭は普通に始まったな〜くらいに思っていたのですが、
でも、殺人犯と刑事のいる場所としての違和感があったり、最初からコンフリクトがあるつくりで
あれ?っと観客に感じさせるところから始めるあたり、監督は只者ではないと思いました。
そこから、
役者陣による本読み?の応酬が始まります。
最初は『ドライブ・マイ・カー』の俳優陣による本読み(棒読みの)を彷彿とさせるな〜と思って観ていたら
全然違う。
本読みを重ねるごとに、役者陣に役が入り込んでいく、どんどん熱を増していく、という視点と
それを観ている観客がストーリーや登場人物にグイグイ引き込まれたり感情移入したり、思考が重なっていったりと、
直接的な映画表現がなされなくても、役者の練習風景だけでストーリーが頭に入ってくるあたり、
もはや映画の革命を観せられたように思いました。
これを意図的にやっている監督は本当にすごい。
この作品と出会えて幸せです。
映画的なストーリーとしても、観客に解釈を委ねられる系ですから、
考察含め、余韻を楽しめる映画作品となっており
私としてはすごく楽しめました。
ラスト近くの主人公の殺人を犯した心境を手紙にしたため、それを朗読するシーンでは
殺人の動機も理解できたりはします(あくまでも観た人それぞれの解釈になる前提です)が
ゆえに人間の本質的な怖さにも触れたように感じます。
本読みの練習風景だけではなく、ちゃんとした映画の一場面も切り取られて観せられますから
映画作品としても完成しているのだろうとは思うんですよね。
風景も差し込まれますしね。役者の読み合わせだけでなく、おそらくはちゃんと映画作品としても仕上がっているはずですが
その全体像は見えないんですよね。それがまた巧みだなとも思いました。
いやぁ、映画ファンには一度は観ていただきたい作品です。
とにかく驚きました。
すごい!!