「正月の初笑いに最適の映画、南北境界線の緊張感でこれだけ笑えるのは凄いこと」宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
正月の初笑いに最適の映画、南北境界線の緊張感でこれだけ笑えるのは凄いこと
2024.1.10 字幕 アップリンク京都
2022年の韓国映画(113分、G)
南北軍事境界線の監視員が宝くじを巡って奪い合い、協力し合う様子を描いたコメディ映画
監督&脚本はパク・ギュテ
原題は『육사오』で「45分の6」という意味
物語の舞台は、ソウルのある飲み屋街
そこで配られていた「ロト6」のくじは、当選確認されることもなく風に吹かれ、紆余曲折を経て、南北境界線の監視所に向かう韓国軍のジープに挟まっていた
それを拾ったのは、韓国の兵長チョヌ(コ・ギョンピョ)で、彼はたまたまTVで当選結果を知り、卒倒してしまう
その後の彼は、喜びをひた隠しにして、妙に寛容になって周囲を困惑させる
小哨長のウンピョ(ウム・ムンソク)は精神的におかしくなったと感じ、病院送りにしようとするものの、ある監視日にチョヌは、そのくじを風に飛ばされてしまう
チョヌは深夜に寝床を抜け出しては境界線の柵の下に穴を掘って無断侵入し、当たりくじを探すために地雷原に足を運んでいた
そのくじは北朝鮮の上級兵ヨンホ(イ・イギョン)の足元にたどり着き、最初はそれに興味がなかったが、まとわりつくくじに呆れ果てて拾うことにした
諸外国の情報にアクセスできる権限を持つ上級兵チョルジン(キム・ミンホ)の力を借りて、紙切れの正体を知ったヨンホは、家族のために使える金ができたと喜ぶ
だが、北朝鮮内ではそれを監禁できず、韓国の誰かにそれを託す必要が出てきたのである
映画は、北朝鮮に侵入したチョヌがヨンホと出会い、くじ奪還の交渉が始まるところから動き出す
だが、拾得物の所得謝意の割合で揉め倒し、やがてウンピョや、北朝鮮の政治指導員スンイル(イ・スンウォン)にバレてしまう
そして、彼らは秘密に会える場所として「共同給水区域(JSA)」を指定し、そこで交渉を再開することになったのである
その後、交渉は難航を極めていたが、その区域を管轄していた韓国の給水管理人(リョ・スンス)が登場し、折半と交換保証のために人質を交換するという提案をすることで動き出す
チョヌは北朝鮮へ、ヨンホは韓国へと渡り、それぞれが「急遽配備された新兵」という名目で換金されるまでの日々を過ごすことになった
チョヌは持ち前の知識で畜産に貢献し、ヨンホは地雷原で韓国の新兵(シン・ウォンホ)を助ける
それによって二人は、大隊長クラスに気に入られ、敵地から抜け出せなくなってしまうのであった
映画は、字面だけを追うと緊迫感のある内容に見えるのだが、実際には「ドカン、ドッカン!」と笑いが起こるものだった
行きつけのミニシアターでこれだけ笑いが起こるのは初めてのことで、十数人のほとんどの観客が各々のツボで笑っていたのは驚いた
個人的にはチョルジンとスンイルがブレイブガールズの「Rollin'」のダンスを始め、ウンピョが参加したシーンで、この楽曲のMVを見た事がある人なら再現度に抱腹絶倒間違いなしだと思う
それ以外にも要所要所でお笑いネタがぶっ込まれていて、いわゆる「必死になっている人のずれた行動」が笑いのポイントになっていたのは良かったと感じた
いずれにせよ、公開規模が少ない作品だが、今年の正月映画の初笑いには最適の映画だと思う
様々な問題で不信感しかないお笑い業界とか、日々報じられる悪いニュースばかりでは心が疲弊してしまうので、息抜きに劇場を訪れても良いと思う
その「活力」を胸に、再び日常に帰り、やるべきことに集中するのが良いのではないだろうか