「樸素」オールド・フォックス 11歳の選択 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
樸素
予告からはだいぶヘビーな作品なのかなと思って意気込んで観ましたが、そこまで鬱屈とした作品ではなく、貧困に悩む父と周りの人物、そして息子がどういう選択を取るのかという作品で、テンポはまったりでしたし、地味な作品でしたが、当時の台湾の経済事情をストーリーにうまく落とし込んでいたなとは思いました。
ただ話は色んな方向に飛んでいくので、本筋の主人公の経済事情は描かれつつも、周りの人たちの関係性だったり、腹黒狐さんのエピソードだったりと、脇道に逸れまくっていたせいもあって、本筋があやふやになっていたなという印象です。
突然の暴力シーン(ガラスに頭をバチコーンしたり、灰皿で頭ボカーンだったり)の意図がイマイチ分からず、その後の展開も主人公パッパに泣きついたり、キレたりしたりして、果たしてこのシーンの流血はいるのか?と思ってしまうところが強烈なノイズでした。
主人公の子供が必死に家を売ってくれと腹黒狐さんに訴えかけるシーンは最初は良かったんですが、後半になっても同じような事を言っていて、それだけ父親を助けたいというのもあるし、不平等だと怒っているのは分かるんですが、しつこい!となってしまって、鋭い目つきも相まって可愛げがなくのめり込めませんでした。
BIGLOVEな門脇麦さんが出演しているというのが今作を観るきっかけだったのですが、最初の登場シーンは凛としていて綺麗な女優さんだなーと思っていたら麦さんで作品に溶け込んでいて見惚れていました。
現地の言葉もとても流暢に喋られていましたし、日本での演技とはまた違うものが観れて1度で2度お得な麦さんでした。
リウ・グァンティンさんは「1秒先の彼女」の彼役で、その時は活発な青年のイメージでしたが、今作では物腰柔らかい若パパになっていて驚きました。
今後の台湾映画でどんな役で立ち回っていくのかが気になるところです。
最初から最後までしっかり観ましたが、いかんせん地味さは拭えずじまいで、映画としての魅力は足りないかなーと思いました。
鑑賞日 6/26
鑑賞時間 20:45〜22:45
座席 A-7