ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフのレビュー・感想・評価
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アルモドバル監督と西部劇とは最高の組み合わせ
ペドロ・アルモドバル監督がウェスタンとはなかなかそそられる。しかもイーサン・ホーク主演である。何十年来の友人である二人のガンマン。一人は保安官(イーサン・ホーク)となっており、ある日突然ふらりともう一人の男(ペドロ・パスカル)が訪ねてくる。久しぶりの再会で燃え上がる二人はベッドをともにするが、翌朝、保安官は男がやってきた真意を探る。どうも、男の息子がお尋ね者のようで、息子を逃がすためにやってきたのではとなって、愛憎混じったやりとりが展開していく。
『ブロークバック・マウンテン』の監督として名前が挙がったこともあったアルモドバル監督は、その時は断ったわけだが、これが彼流の応えなんだろう。
アルモドバルの作品は色使いがいいんだけど、今作も良い。荒涼とした砂漠に映える衣装のカラー。そして流血。鮮烈なイメージに釘付けになる30分だった。映画って長ければいいというものではないなと改めて思った。
31分の上映時間にアルモドバル汁がギュウギュウに詰まった異色西部劇。
幸せとは
ひたすら意欲作を撮り続けるアルモドバル監督の想いが凝縮したような一作
かつて互いに惹かれあった男たちの物語が主軸となった西部劇です。30分程度の短編なので展開自体は非常にスムーズなんだけど、時間以上の密度を感じさせます。
テーマ的にもジャンル的にも、ジェーン・カンピオン監督の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021)をどうしても想起してしまうんだけど、カンピオン監督の映像がある程度耽美性を帯びているのに対して、こちらは男たちの情念がほとばしる、生々しさがにじみ出ている点が興味深いです。
『神経衰弱ぎりぎりの女たち』(1987)など、初期は刺激的かつアナーキーな作風という印象が強かったアルモドバル監督だけど、巨匠となった現在むしろ表現とテーマの幅が広がっているところがすごい。『パラレル・マザーズ』(2022)に至っては、母子関係という最も基本的な人間関係を捉えなおす作品と思わせて、スペインの負の歴史にまで踏み込んで見せました。
本作も、「西部劇」というジャンルそのものの見直しを観客に促すような、「映画のための映画」という側面が強く出ているように感じました。
アルモドバル監督はこの後初の長編外国語作品『The Room Next Door』の公開を控えているので、もしかして余技でこの作品を撮ったのかもしれないけど、それでも極上で隙のない美術に満ちた映像を作り上げるあたり、さすがと言わざるを得ません!
西部ゲイ?
2024年映画館鑑賞79作品目
8月27日(火)フォーラム仙台
特別料金1000円
監督と脚本は『オール・アバウト・マイ・マザー』のペドロ・アルモドバル
監督もゲイらしい
西部劇のコメディーかなと思ったが違った
25年ぶりに再会した保安官と古い友人
保安官の地元では弟の妻が殺された
殺したのは古い友人の息子だった
逮捕したい保安官
息子をメキシコに逃がしたい古い友人
ゲイと人殺しと売春婦
登場するのはそんな人たちばかり
何度も乾杯するシーン好き
31分の短編で1000円も取るのは申し訳ないとフォーラム仙台側は思ったのか本編終了後に作品を解説する全く別世界の人物が登場した
ヴィヴィアン佐藤氏である
東京の人かなと思ったが地元仙台の人だった
ビジュアル系のバンドのボーカルのような出立ちに異質なヘッドドレスなるものが気になって話の半分しか頭に入らなかった
傾くので何度も何度も帽子を直していた
頭がお花畑と言われる人が世の中にはいるが実際にそれに近い人を初めて見た
意味は全く違うけど
『花束のような恋をした』はいまだにタイトルがピンとこないが「花束のような帽子を被った人」ならヴィヴィアン佐藤が思い浮かぶ
ビビアンじゃないところがいい
『エヴァンゲリオン』だって『エバンゲリオン』より『エヴァンゲリオン』の方がカッコ良い
ガヴァドンだってガバドンより断然ガヴァドンの方が良い
もう少し食べたい
おしゃれなおっさんの緑ジャケ
なにコレ!?
予告編は見たが予備知識無しで見に行ったら、キツネにつままれたよう
起のあと承のさわりくらいで終わってしまった。。
見たいのはこの先なんですけど!
劇場のお姉さんに、「この映画、別日に続きがあったりしませんよね」と馬鹿みたいに聞いてしまった。
いちゃいちゃシーンがふんだんにあって、二人が関係をあまり隠してないように見えて意外。
キリスト教の元ではタブー、「パワー・オブ・ザ・ドッグ」では当然に秘されており、「ブロークバック・マウンテン」のようにバレたら命奪われるくらいのものだと思っていましたが当時の西部では緩かったんでしょうか。
二人が別れたのは、基本的に性格の不一致でしょう、というのはこの短い上映時間の中でも分かりました。
愛するジェイクは手負いの籠の鳥で全面的にシルバに頼るしかない、ひとりでは何もできない。余人の入らないふたりきりの世界。
シルバがどこかうきうきしているようで、なんだかきゅんきゅんしました。
男同士だと、パンツ共有できるんですね。
私はいくら愛するダンナでもパンツと歯ブラシの共有は無理です。
アルモドバルさすが。 ここまで短編に出来るって見本。
シルバの着る緑のジャケットに赤いネルシャツ。馬も西部の自然も目に入らぬほどの伊達者の姿。
ジェイクは、保安官としての出で立ちながら、ありえない細みの仕立てのスーツで、絶品のお洒落度。
タイはもちろん スラックスもベルトのバックルも選りすぐり。
そして、
「2つのベッド」のベッドカバー・・
2人の再会を迎える、素朴ながら暖かいモスグリーンと赤土色のストライプで、これはシルバを表し、白いベッドカバーはジェイクの今を表す。
赤い肌着も、白いコットンの肌着も良い (あれ、欲しい!)。
そして肌着を貸すジェイク。
自身クイアだったイブ・サンローランが、
そのメゾンのプロデュースで新しく世に放つ、これは魂のファッションショー。
新時代のランウェイなのだなあ。
あっという間の31分でした。
これで終わりなの?と呆気に取られる幕切れだけど、
25年ぶりなんだしぃー、
はるばる会いにに来たんだしぃー、
急所を外して撃ったんだしぃー、
こうして介抱も出来たんだしぃー、
・・好きなんだからこれでいいじゃないかと、あり得ないボケをかますシルバなんだけど、
“もうその積り"のジェイクの、愛情ゆえの諦めの顔が、もうキュンキュンした僕だった。
アルモドバルの映し出す人間たちは、旅の人生のどこの瞬間を切り取っても、人が愛おしくてマッシブでドラマチック。
この先どうなるのかは分からないよね。
「でも今が良ければそのように生きるべきなんだ」と、忘れちゃいけない大切な事、思い返させてくれる。
泣きたくなった。
ミカさん、
talismanさん、
ご推薦ありがとうございました。
面白かったです。
+ +
推しの映画館、
きょうの塩尻・東座の亭主= 合木こずえさんは、目も覚めるほどのグランブルーのワンピースでした。
薄手のウール (真夏ですからウールはないだろうけれど) のスカートのドレープが本当に綺麗だった。
色を合わせてのラピスラズリのイヤリングも似合っています。
かける作品をしっかり意識して、サンローランとアルモドバルを迎え入れた、彼女の心意気が素敵でした。
イケオジ祭りワッショイワッショイ🙌
満足度の高い作品でした
Wine&Blood
本当にやらなければならいことは何か(映画とマイナーなもの)。
2023年。ペドロ・アルモドバル監督。殺人事件を捜査する保安官を25年ぶりに訪ねて来た旧友の牧場主。かつて熱烈に愛し合った二人だったが、実は牧場主の息子が殺人の容疑者として浮かんでいた。別れた事情、25年の歳月、そして法の裁きが絡んで、素直になれない二人はどうなるのか、という話。
三人が銃を向け合う緊迫した場面で、牧場主は息子を脅して逃がし、そして保安官を撃つ(そして怪我の手当と介護をする)という選択をする。「血縁」を優先してただ息子を助け保安官を裏切るのではなく、「法」や「愛」に従って保安官に味方して息子を裏切るのでもない。血縁や法や愛はいかに重要だとしても自分の思うままにはならないものであり、人生において「本当にやらなければならないこと」ではない。本当にやらなければならないことは、関係をつくること、それを続ける方策を模索することなのだ。ということらしい。
西部劇の同性愛といえばきわめて不自然なもので、タブーとして扱われているものはたくさんあるが、本作ではきわめて自然な愛情として描かれている。映画が観客にマイナーなものへの感情移入を促し、新たな知覚を与えてくれるものだということを再認識した。
思っていた以上にあっという間
サンローランの衣装なんだ…
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