「たくさんの人に観てほしい。」小学校 それは小さな社会 バビさんの映画レビュー(感想・評価)
たくさんの人に観てほしい。
まずは、シネコンでこの地味な作品だと、もしかして貸し切り状態かなと思ってたら、ほぼ満席でびっくり。
観る前からちょっと感動。
新一年生が1年間の成長を経て、次の新入生を迎え入れる様子を丁寧に追った作品だけど。
自分は、縁あって20年以上地元の小学校の入学式・卒業式に出席しているし、ちょいちょい小学校に入るので、ほぼ見慣れた光景だけど、この新1年生の大冒険を知らない(忘れている)大人たちはきっと多いことでしょう。
とにかく「自分はなんでもできる!」という万能感とすべてを父や母に守られていた幼児期をおえて、いきなり『社会』にほうりこまれた6歳の、困惑と挫折が痛いほど伝わってきます。
『競争』なんてもんに直面して、頑張っても一位になれないってことがわかったり、楽器をうまく弾けずに、練習不足だと叱られたり、給食の配膳で失敗してしまったり。
とにかくこの1年は、できるようにならないといけないこと、克服しなければいけないことが次から次にやってくる。
足し算とか漢字とかなんて5%くらいしか占めてないんじゃないかと思うくらい。
逆にいうと、『学校』というものの重要性が浮き彫りになってくる。
さっこん、「通信制高校」なんてもんがもてはやされているけど、人間が集団のなかで形成される能力ってのは、中学生でも高校生でも実は重要なんじゃないか。
その中でしか培われない力ってもんがあるんじゃないか。
なんてことを考えさせてくれる作品でした。
来月も卒業式に呼ばれてるんだけど、6年前に作品中の新1年生と同様、立ったり座ったりで必死だった子たちが、立派な合唱ができるようになり、しっかりとした答辞を言えるようになってるのを見るのはいつも楽しい。
それにしても、「さんぽ」で新一年生が入場し、「旅立ちの日に」で巣立っていくのは全国共通なんですかね?