「わたくしどもはどうなるのでしょう…」わたくしどもは。 うさぎさんさんの映画レビュー(感想・評価)
わたくしどもはどうなるのでしょう…
儲けようという気はさらさらない作品である。これが撮りたいから撮ったという感じの映画です。最後のエンドロールを見てこれだけ大勢の人が関わって完成したのかとあらためて驚く。儲かるからではなく、いい作品を作りたい、絶対にこの映画を撮りたいという情熱がこれだけの人を動かしたのだろうと思うとしっかりと内容を咀嚼する必要があると思った。
映像はとにかく美しい、小松菜奈も美しい。これは、万人の認めるところだと思う。監督のこだわりを一番感じる。
転生をテーマにした作品だが、説明がほとんどないので、内容の感想咀嚼になると、ほぼ想像になってしまう。的外れかもしれないが、自分なりに納得したいと思う。
亡くなった人の魂が一旦落ち着くところが舞台ということだと思う。ただ、亡くなり方によって落ち着き場所が違うのであろう。天寿をまっとうした人、事故で亡くなった人など、いろいろと落ち着く場所があるのだろうと思う。
この作品の主人公たちの魂の落ち着き先は、自殺(心中も含む)された方々が集まるところという設定だと思う。そして、49日間の滞在(審査?選別?)をもって、次のステップに進めるようである。
ただ、ただれた身体を持つものは、永遠?(または、それに近い間)にこの場所を彷徨うようであるが、ただれがどういったものであるかは、はっきりとは描かれていない。
松田龍平にも背中の一部にただれが見られるが、その後の話の展開でどうもそのただれは、業の深さそのもののようである。
二人は、生まれ変わってこんどこそ一緒になろうねと心中をしたのだが、それが果たせないと感じた時、もう一度、心中を図る。だが、一度死んだ人間は二度死ぬことはできなかった。
はたして、二人の魂はふたたび一緒になることができるのか?と思わせて映画は終わる。
おそらく無理であろうと思う。
田中泯の審査に通らないのである。
美しい佐渡島を永遠に彷徨い続けるのであろう。
怖いお話である。