「緑色が侵食していくのか、元々緑色だったのか、その辺りも雰囲気で終わらせている感じ」緑の夜 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
緑色が侵食していくのか、元々緑色だったのか、その辺りも雰囲気で終わらせている感じ
2024.1.25 字幕 アップリンク京都
2023年の中国映画(92分、G)
中国から韓国に渡った女性と怪しい仕事をしている緑の髪の女との交流を描いた犯罪映画
監督はハン・シュアイ
脚本はハン・シュアイ&ワン・ジン
原題は『綠夜』、英題は『Green Night』
物語の舞台は韓国の仁川国際空港
そこで検査官をしているジン・シャ(ファン・ビンビン)は、ある理由にて母国を離れて一人暮らしをしていた
夫(キム・ヨンホ)からも逃げて姿を隠しているジン・シャだったが、ある日、検査場にて緑の髪の女(イ・ジュヨン)が「何かを運び込もうとしていたこと」を突き止めてしまう
次長(ユン・ギチャン)は「いつもの荷物ですね」とスルーさせるものの、女はヘソを曲げて搭乗するのを辞めてしまった
その後、仕事帰りにバスターミナルに来たジン・シャは、そこで女と再会を果たす
女は「検査場で脱いだ靴を返して」と言い、ジン・シャは仕方なく彼女を自宅へと招き入れることになったのである
女が運んでいたのはドラッグで、それをソウルに持っていく必要があると言う
そこで、ジン・シャは彼女を連れて、ソウル郊外の漁港へと同行することになった
そこにはドラッグの売人パク(ユ・ビョンソン)がいたが、出所のわからないものは扱えないと断られてしまうのである
映画は、訳あり女二人の邂逅を描き、その背景が少しずつ明かされていく内容になっていた
緑の髪の女には彼氏のドン(キム・ミングィ)がいたが、相当なヤバいやつで、女を道具としか見ていない
ジン・シャの夫も暴力的な男で、それから逃れるために住処を借りていたが、行く宛を失った二人は彼を頼らざるを得なくなる
そんな抑圧の中で「はずみで事故が起きる」と言う内容で、絶望的な未来しか残されていないように思えてくるのである
物語は説明が少ない内容で、夫の死体が消えた経緯は匂わせているものの、それを行った刑事(オム・ジマン)の目的は不明のまま終わる
次長もこの刑事も麻薬の密売に関わっていて、緑の髪の女の代わりをさせられると言う未来が待っていると思うのだが、そのあたりが雰囲気で片付けられていると言えるだろうか
いずれにせよ、ジン・シャの母関連の話は導入に過ぎず、その回収もないままに終わるので消化不良感が凄かった
ファン・ビンビンの女優復帰作と言うふれこみで制作され、日本での公開に至ったと思うが、緑の女に同化されていく女性を描いているとしても、ラストの唐突感は否めない
犬のいた緑の髪の女の彼氏の部屋にはたくさんのドラッグ入りのカバンがあったが、それがどうなったとか、どうするのかあたりも投げっぱなしになっている
なので、純粋にファン・ビンビンと緑の女の絡みを見たいんだ!と言う人以外には刺さらないのではないだろうか