劇場公開日 2024年3月8日

「新しい座組で開けた可能性」ゴールド・ボーイ 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0新しい座組で開けた可能性

2024年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

中国原作でチームジョイが製作に加わっていて、日本のスタッフ・キャストで長編映画を作るという座組は新しいのでとても興味深く観た。座組が変わると新しい可能性も拓けるのだと改めて思う。少年少女が犯罪を目撃して大人から金を脅し取るという内容の、強烈な青春映画なのだが、なかなか日本の会社だけでは企画しづらそうな感じはある。とにかく3人の少年少女の危なそうで純真そうなたたずまいが素晴らしくて、イノセントさと狂気が薄皮一枚の差しかないことを思い知らされる名演技を見せてくれる。

岡田将生はこういう狡猾な男役が本当に上手。脚本の運びも秀逸で全く飽きないで見られる。沖縄を舞台に選んだのも良かったと思う。東京の郊外でも成り立つ話ではあるけど、風光明媚な風景の美しさと人間の狡さのミスマッチがいい。
こういう可能性が開けるなら、どんどんアジアで国際共同製作をやっていくべきだ。国内興行は苦戦気味のようだけど、海外市場でうまいこと活路を見出してほしい。

杉本穂高