「助けてを言えない人たち」若き見知らぬ者たち クロネコ。さんの映画レビュー(感想・評価)
助けてを言えない人たち
ちょっと前に夫となんで闇バイトなんてもんがこんなに起こるのだろうかみたいな話をした。私の意見はバブル後に生まれた世代って右肩下がりの日本しか見てなくて、何も希望が持てなくて、生きるのがやっとになって、モラルがなくなってきてるからじゃないかなと。夫も完全に同じ意見だと言っていた。
それってつまりは助けてって言えない人たちなんだと思う。生きることに必死で助けを求める時間すらないのかもしれないけど。彩人にしろ日向にしろ誰かに助けを求めれば、特に彩人なんて行政なりに助けを求めれば自分も母親ももっとうまいこと生活できるだろうに。
それが若き見知らぬ者なんだろうか?冒頭のシーンは彩人がなんとか人としてのモラルを保ってる、でも心の中ではもうとっくに転がり落ちてることの表れのかなとぼんやり思いながら話がすすんでいった。
現在と過去のシーンがシームレスに映される。結局過去は過去、と割り切れない人間の性を見せつけられているようで苦しい。でも現実の人間もそんなもんだよなと思う。
彩人を演じる磯村勇斗は本当に良い役者になっているよなぁと思う。すり減るというか、まるでこぼれ落ちていくかのような若者を見事に演じていたと思う。
母親を演じる霧島れいかは圧巻。あそこまで壊れた人間を演じられるものなのかと思った。
ただやはりあまりにも脚本が荒唐無稽すぎるというか、わざとなのかわからないけど説明不足すぎるというか余白がありすぎるというか。
警察の対応にしろ店の床を見た二人の反応にしろなんで?ということが多すぎた。
そのせいで後半の壮平の試合シーン、あれはいいシーンだった!と思うのに前半のなんで?を引きずって印象が霞んでしまった。
惜しいというか勿体ないと思う作品。でも思わず今の若者についての話をしたことを思い出してレビューに書いてしまうくらい頭を働かせてしまった。それが目的だったとしたら、私はまんまとこの作品にハメられた観客の一人なんだろう。
共感&コメントありがとうございます。
コメントに挙げた2作品とどこが? というのははっきり説明は出来ないんですが・・希望が描かれてないからという事でもなく、何か磯村くんに集中砲火だった所が引っかかります。
救けてを言えない人の方にも色々都合が有るんでしょうが、一番苦しんでるのは母親という場所迄戻ってほしいですね。
正直この作品は酷い話でした、というだけ。ミッシングやあんのこととはどっか肌合いが違う感じなんですよね。