「Unite」JAWAN ジャワーン ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Unite
「PATHAAN パターン」のシャー・ルク・カーンの出演最新作、ここ最近のインド映画はちょい微妙なのが多かったので今作はどうなるかなーと思っていましたがそんな不安を吹き飛ばしてくれる傑作でした。
アクションとドラマどちらも完成度が高く、3時間と長尺ながら食い入るように観ることができました。
初っ端から村が襲われ、村民が無惨にも殺されていく描写はキツかったですが、目覚めた包帯ぐるぐるの男が一気に敵方を蹴散らしていき、敵の持つ武器をこちらのものにして村を救っていく模様がいきなり激アツでした。
そこからの電車占拠のシーンはこのままテロリストたちがメインになるのかな?と思っていたらいきなり展開に捻りがあり、横暴な借金で苦しむ農民たちの借金返済のために電車を占拠して農業大臣に要求するというとんでもない作戦を実行に移しているもんですから驚きものです。
しっかりとチーム全体で戦略を練って一分の狂いもなくやってのける少数精鋭のチームプレイには舌を巻きましたし、序盤から張った伏線が主人公のキャラクターに深みを与えてくれてワクワクが止まる気配がありませんでした。
医療設備が整っていない病院を救うために保健大臣を拉致って、全ての病院に最新の設備やトイレなどを設置させる手際の良さと交渉のうまさには舌鼓を打ちましたし、危機的状況だろうと潜り抜けていくチームの連携もお見事でした。
恋仲に落ちたエリートウーマンとの関係性もキュンとくるものがありましたし、主人公自身の立場もあるせいか偽りの姿で敵対することもあれど、お互いに辛い立場を経験しているからこそ通じ合えるものがあるんだなと思えるシーンがたくさんあって、そのドラマも良いものが詰まっていました。
堂々巡りで主人公の父親と再会し、父親の記憶喪失のせいもあって不器用な再会にはなっていましたが、二人が抱擁する所はくぅ〜と昂るものがありました。
インド映画ならではのカーアクションがとんでもないクオリティで超絶楽しかったです。
トラックにジャンプして飛び移ってからの車両の屋根で攻防だったり、ドア越しの攻防だったりといきなり迫力満点なんですが、親父たちがバイクで向かってくるところとかカッコ良すぎて痺れました。
バイク×武器の組み合わせで敵をメッタメタにしていきますし、弾倉の使い方がイカしてる!と思わず見惚れてしまいました。
トラップの使い方だったりにも工夫が凝らされていて、今までのカーアクションにハチャメチャさを加えた結果とんでもないものがお出しされたので満足度ブチ上がりでした。
刑務所の受刑者総動員で立ち向かったり、ダンスしたり、音を掻き鳴らしたりするのもインド映画らしい景気の良さを感じれましたし、お互いの関係性や信頼などが各シーンでビシバシ伝わってくるってのも最高でした。
選挙の1票が大事、しっかり見極めて国や地域の代表を選ぼうぜというインドの情勢に訴えかけるものだと思いますが日本人にも中々刺さるものがありました。
やってる事はオーバーすぎるが正しいことをやっているというのがしっくり来ましたし、それに応える国民たちの姿がとても眩しかったです。
言葉だけでなく行動で示しているというところにも漢気とカッコ良さが滲み出ていました。
ラストシーンのバトルは狭い空間ながらぶっ飛びまくりでしたし、ついに叶った親子で親玉へと立ち向かう様子は胸熱でしたし、ここまで達成感のある復讐って早々無いんじゃってくらい気持ちのいいものだったのもさらに良かったです。
エンドロール中の映像もニヤッとできる後日談が流れてくるので嬉しかったですし、やっぱ踊ってくれるんやなと再度ニヤリとしました。
基本的にダンスシーンの多いのがインド映画なんですが、ここ最近やたら長いのを観てたのもあって気持ち少なめで観やすいなと思いました。
相変わらずダンスが始まるとスパッと物語が止まるんですが、還暦目前には見えないシャー・ルク・カーンがキレッキレに動いてるだけで物語を止めてくれて構わないぜって気分になりました。
アクションもどんな体の柔らかさ持ってんねんレベルで跳ねたり飛んだりぶっ飛ばしたりで見応えがあり、スロー演出も多用こそしていますが、それによって生まれる重厚感があったのでプラスに働いていました。
今作は単体でもしっかり完結していますし、流れ的に続編を作れそうな終わり方になっていたのも好印象でした。
是非ともインド映画は2部作構成ではなく単体で成功したら2部作構成という流れになっていって欲しいです。
今年ベスト候補です。
鑑賞日 12/3
鑑賞時間 9:35〜12:40
座席 J-14