「前・後章だけでは描き切れなかったことが多すぎる」デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
前・後章だけでは描き切れなかったことが多すぎる
前章で描かれた主人公2人の幼い頃のエピソードは、物語全体の鍵を握ると思っていたのだが、それが、時間軸の異なるパラレルワールドでの出来事であったことが分かると、「またもマルチバースか・・・!」と思ってしまった。
ただ、その時空を超えたのは凰蘭だし、凰蘭と大葉とのラブ・ストーリーも大きなウェイトを占めていて、前章では凰蘭と門出が同等に描かれていたのが、後章では、完全に凰蘭が主役になっている。
何よりも、門出1人の命を救うために、全人類を滅亡の危機に追い込んでしまった凰蘭の葛藤の深さは心に響くし、それで良かったのだと思えるような2人の友情にも胸が熱くなった。
その一方で、問答無用で「侵略者」を駆除し続ける人間にしても、ただ逃げ惑うだけの「侵略者」にしても、お互いにもう少しコミュニケーションを取って、何とか共存の道を探れないものだろうかと思ってしまう。
キャラが立っていた「青共闘」のリーダーの小比類巻や凰蘭の兄のひろしが、いったい何をやりたいのかが分からないまま、中途半端な活躍で終わってしまったのはもったいない。
人類よりも「侵略者」の方が先に地球に住んでいたというプロットも活かされていないし、国立競技場の「方舟」とか、AIの認証とか、異空間から出てきた巨大な手とか、光の泡のシャワーとか、いったい何だったのかが分からず、理解が追いつかないことも多すぎる。
ようやく入力できた「ともだち」というパスワードが機能しなかったり、その割には、地球全体が崩壊するはずが、東京の破壊だけで事態が収拾したりと、物語の結末にも釈然としないものが残った。
せっかく、前章で、後章に向けた期待が盛り上がったのに、色々な要素を詰め込みすぎた上に、その、どれもが不完全燃焼で尻すぼみに終わってしまったのは、本当に残念としか言いようがない。