「中途半端な結末が大きなカタルシスとなりました。」デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章 nyaroさんの映画レビュー(感想・評価)
中途半端な結末が大きなカタルシスとなりました。
結末のカタルシスが最高でした。エヴァオマージュが入りますがエヴァの轍は踏みません。とはいっても、すっきりとわかりやすい結末かというと、決してそんなことはなく説明不足だしハッピーエンドともいえるしバッドエンドともいえるような中途半端さなんですけど、非常に納得感がありました。
つまり、物語の最後のリセット的なわかりやすい結末が排されることで、より実感がこもる感じで胸にグーっと来ました。リセット的なすっきりとハッピーエンドの物語の結末って先がどうなるかわからないですので、逆にそこが始まりなのに…などと思ってしまいます。本作のような中途半端な結末が映画鑑賞後の余韻を残してくれます。
本作は、日常や恋愛の場面がメインとして描かれるディザスターSFです。いつ災害が起こるかわからない日本の現状でもあり、事なかれ主義の大衆でもあり、無能なお上でもある。現在の日本のリアリティです。
そして特に前章の内容はオマージュがたっぷりで、正義、友情、恋愛、いじめ、孤独、別れ、絶望等々が、難解に見えて実はわかりやすい話の中に展開してゆきます。そこもまたリアリティなんだと思います。
そして、そんな状況が進展し、結末にたどり着くまでの布石とか物語の積み上げをガラガラと壊しつつ、でも、今まで積み上げてきたものの上に結末の先がある感じが、非常に胸を打ちました。そしてメタ的にも物語論の否定…というか物語による救済の無意味さのようなものも感じました。
アニメの技術も素晴らしかったし、内容も素晴らしかったと思います。1回しかみてないので、咀嚼しきれていないとは思いますが、コミックスを大人買いしてしまったので、先にそっちを読んでから、もう1回みるか考えます。