デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章のレビュー・感想・評価
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だけど、傘がない
原作の知識の無い私が映画館に飛び込んで一気見した印象は、やはり井上陽水氏の「傘がない」でしょうか。例え頭上にUFOの母船が滞在していようとも、青春に悩み、青春を謳歌する女子校生達は身近な現実を生きる他は無い。愚かなのでは無く、そうするしか無いのだと思う。でも、井上陽水氏の歌の自殺者よろしく、頭上のUFOもまた、現実的な問題なんです。そして残酷な人類は宇宙人?達を見つけ次第、残酷な仕打ちをしてしまう。UFOをどうにかしなきゃと思っていても、現実的に何が起こっているのか? そうそう、判るものでは無い。しかし、隠しおおせず包み隠せず、最後には大爆発を起こして吹き荒れ、我が身に降りかかってしまう。この前章のラストはそういう理解で良いのかな。
原作を知らず、頭の回転が回らない私には、助けた宇宙人からタケコプター?やら光学迷彩マント?に念動力スティック?を得て、勧善懲悪に乗り出す下りは、いったい何が起こったのか。正直、話の構成がついて行けない。その辺は後編で全て話が繋がるのだろうか。後編の期待感が止まないのですが、やっぱり頭の回転が回らない私には、原作を読んだり何度も見返さなきゃ理解出来ないかも。
何より、登場人物達のファニーなルックスが良いですね。失礼ながら美しさ可愛さ色気が無いだけに、いろんな純粋さや不純さが浮き彫りになっているようで、赤裸々な人間の生き様が生き生きと描かれているように見えてくる。宇宙人との話であるだけに、宇宙人視点とも見ることが出来るのでしょうか。違う生物として性欲が違えば、性的魅力を感じない、ということか。
映像の作り込みも凄いですね。他の映画を引き合いに出すのもよくないけど、今も上映中のソウルフル・ワールドとは違った意味で背景の作り込みが凄い。町中も店内も超リアルなパロディー振り。お好み焼き屋(もんじゃ焼きだったかな)まで協力を仰ぐほどだから、アニメの仕事の徹底ぶりが窺えます。
そしてエンディングテーマ曲もぶっ飛んでて最高! いやー、楽しかった。
この国の生きている感覚をみごとに封じ込めた世界観。
原作未読なため、どこまでが浅野いにおのマンガに忠実で、どこまでが吉田玲子の脚色の妙なのか判別がつかないのだが、如実にわかる藤子不二雄や水木しげるの引用から、震災やコロナ禍の暗喩、この国を覆う閉塞感と展望のないモラトリアム感など、日本で生きてきて「あ、知ってる……」と思う感覚をギュギュッと凝縮させたような世界観であり、ひとつひとつの表象が多層的であることに魅入られて、咀嚼できる許容量をはみ出して知恵熱が出て倒れるかとすら思った。斬新、ではないのだが、自分たちが浴びてきたある種のカルチャーの総決算を目の当たりにしているようで、マジで圧倒された。
あのは実写映画『鯨の骨』での演技も素晴らしかったが、幾田りらともども声優としても空恐ろしいくらい完璧に思える。そして2人のコラボ曲でガツンと終わるポップさが、かろうじて息をつかせてくれた気がする。と、手放しで絶賛しつつ、考えたらお話的にはまだ半分なんで、ストーリー全体をどう評価したものかはまだ保留。5月までに原作を読むか、このまま知識ゼロを保持して後半も映画から観るかでアタマを抱えています。映画を待つのが自分的には正解だと思いつつ、気になってしょうがないんですもん。
本当はこの世界はどのくらいヤバいのか
ポスト震災、ポストトゥルース時代の青春映画として大変完成度の高い傑作だと思う。世の中では何か大変なことが起きているけど、自分の半径数メートルは平和で、今しか味わえない青春が大事。「本当はこの世界はどれくらいやばいのか」と教師の質問する主人公の思いは、みんなが抱えているけど、普段それを口に出すことはない。なんとなくヤバいとみんな思ってるけど、人は信じたいものしか信じることはないし、気づいていても気づいてないフリ、見ないフリをしてしまう。
日常が突然壊れたとしても、非日常が日常に変わって日々は続いていく。それは不気味なことだと同時に、決して悪いことばかりでもない。そうしないと人間は生きていけない。この作品は、危機感を持てないことへのいらだちや諦観だけじゃない、それでも生きていく人の強さはその鈍感さにこそあるかもしれないと言っているようにも思える。アニメーションの完成度も極めて高いし、主演二人の声はキャラクターのお腹から出ているとしか思えないくらいにハマっている。今年を代表するアニメーション映画の一本だ。
日常を覆うSF要素、二人の声が織りなす固い絆に引き込まれた
原作を何も知らないまま本作に飛び込んだが、SF青春劇に思いのほか引き込まれた。主人公の二人は高校生。それこそ自分とは親子ほど歳が離れているものの、私もこの日本で生きる身として、巨大宇宙船飛来とまではいかなくとも、社会が揺れるたび何度となく似たような感覚に陥ってきた気がする。もしかすると前の世代も、これから後の世代も、感じることは同じかもしれない。想像を超えた事態は何の前触れもなく唐突に訪れ、日常を豹変させる。だがその状況下にあっても、高校時代は、青春は続く。彼女らが交わす他愛のない会話、ただ一緒にいるだけで醸し出される安心感が尊い。門出(幾田りら)の落ち着いた基調トーンと、おんたん(あの)がもたらす破天荒な揺さぶり。時に攻守を反転させながら描かれる二人にとっての「絶対」。通常なら青臭く思えるその概念も彼らを見ているとすとんと胸に落ちるのが不思議だ。後編がどう展開するのか非常に楽しみである。
2024 127本目
小山門出(声:幾田りら)と中川凰蘭(声:あの)
まったく前情報なしでの視聴です。
Huluにて。
今作は、東京の空に浮かぶ大きな円盤を一方的に悪いものとして攻撃するという、不思議でおかしな状況であります。
女子高生の小山門出(声:幾田りら)と中川凰蘭(声:あの)たちが、“現在の危難がある”というほどではないため、日常生活を維持し青春を謳歌しようとします。
米軍が大事な情報を持って行ってしまい真相は不明のままという状況に不信感を抱く人もいます。例えば小比類巻健一(声:内山昂輝)のように、表には出ない情報を集めている人も登場します。
自衛隊による攻撃を傍観するだけ...という一般庶民の無力さを痛感するだけなのかと思いきや、さかのぼること中川凰蘭の小学生時代のエピソードがとても刺激的でした。
小山門出をデーモン呼ばわりして除け者にしようとした男子たちと、東京の空に浮かぶ大きな円盤を攻撃する軍や政府は、どこか共通するものがあるような氣がします。
キャラクターについて、『ゲゲゲの鬼太郎』(作者:水木しげる)に登場するようなデザイン(目玉おやじや鬼太郎)や、藤子不二雄作品のパロディや、『けいおん!』(作者:かきふらい)のキャラ(赤ぶち眼鏡のショートヘアの小山門出は真鍋和のイメージだったり、中川凰蘭の顔と髪型はムギちゃん&あずにゃん)だったりと顔の違いが明確で良いです。
続きを観ないと何もわからない感じで、なんだか落ち着きませんね。
要素の組み合わせ
女子高生青春群像劇の日常と宇宙船襲来の非日常
YOASOBIの幾田りらとあのちゃんが、主人公2人の声優に挑戦した、人気コミックの映画化。既に公開は終了し見損なっていたが、huluの配信で前後編を配信し始めたので、先ずは前編を鑑賞。思った以上に2人の声が、キャラクターとも馴染んでいて、違和感なく耳に届いてきた。特にあのちゃんの声は、アニメにした場合、よりそのキャラを際立出せる独特な魅力を感じた。
最近の世界情勢においては、大震災や台風などの自然災害、コロナ・ウィルスによるパンデミック、各地で起こる戦争や内戦等、地球規模での恐怖を目の当たりにしてきている。しかし、そうした出来事も、テレビ画面の奥の出来事として捉え、自分たちの周囲には火の粉は降りかかってこないと信じ生活している私達。今もし、空を覆うほどの大型宇宙船が、私達の上空に舞い降りてきたら…。そんなSF世界観の中で、日常生活を送る女子高生達の青春群像劇を描いた本作。
3年前の8月31日、突然、東京上空に現れた直径5000mの巨大宇宙船。いよいよ宇宙人襲来がと思いきや、その後、攻撃的な様相は見せず、上空に宇宙船があることが、当たり前の日常となりつつある世の中。そんな中、女子高生の小山門出や中川鳳蘭をはじめとする、仲良し5人組もまたも、宇宙船を存在を受け入れながらも、恋愛にやゲームに興じながらも、ごく普通の高校生活を送っていた。
ところがある日、仲良し5人組の1人栗原キホが、宇宙船への攻撃を始めた軍隊の攻撃の巻き添えとなって死んでしまう。そんな時、落ち込んでいる鳳蘭の前に現れた不思議な男子に「君は誰?」と問われたことを機に、一気に、門出との出会いの小学校時代に記憶が引き戻される。そこで、2人の出会い共に、宇宙船との奇妙な繋がりの過去が、明らかになって行く。
まだ、前編だけで評価は難しいが、今どきの女子高生の日常をリアルに切り取り、あけすけに言い合える友情を描く中に、宇宙船の襲来という、全く正反対な非日常の世界観を突き付けることで、シュールで不調和な世界観を生み出している。普段、殆どアニメは観ないのだが、本作は、予想以上にのめり込んだ作品となり、明日、早速に後篇を観たいと思う。
可愛いらしい絵のおかげで これくらいで済んでる🤮
謎を呼ぶ謎にそそられるぅ
日本製アニメは「観ない」が基本なのですが、このぶっ飛んだタイトルと僕好みそうな絵に惹かれて鑑賞です。ビッグコミックに連載された漫画が原作だそうですが、こんな作品の存在も今回初めて知りました。
東京上空に巨大な宇宙船が突如現われるのですが、一挙に攻撃してくる訳ではなく、友好のメッセージを発する訳でもありません。いつしかその不穏な母艦の存在が日常となった日々を生きる女子高生の物語です。
原作は2014年から始まっているそうなので、恐らくは2011年の東北震災後の日本の空気を下敷きにしているのだろうと思うのですが、2024年の現在から観ると、その後のコロナ禍をも予言していたのではないかとも見える社会への鋭い斬り込みです。でも、お話自体は女子高生物語として進むという奇妙なバランスが絶妙です。
また、ドラえもんを丸パクリしているのに、本作独自の重要キャラクターとして動かしているのも大胆。
宇宙船の目的は何なのか? あの宇宙人は何者なのか? 米軍や自衛隊は何か秘密を握っているのか? 謎の少年の正体は? 彼女たちのこれからは? 地球は滅亡するのか? 等々幾多の謎をあんなに巧妙にばら撒かれては、こりゃあ後編も観たくなってしまうでしょう。5月が楽しみ。
良き。
おもしろい!そんなにアニメ好きでなくても集中してしまう。笑えるし、...
非日常の中の日常を描くのかと思ったら?!
宇宙船が空にでかでかと鎮座している異様な空間。その中でめちゃめちゃリアルに過ごしている高3女子の日常。ガンダムやエヴァのように、普通の少年少女がエースパイロットとして戦いに駆り出される非現実でなく、多分戦争が始まってもこういう日常の生活は続いていくよね、というのを描いていくのかと思いきや?
え、そんな展開?! 戸惑う後半。
これどうなるのか気になりすぎて、後章早く見なくちゃ。4.5なのは、ラストをまだ見てないからであって、映画としては5.0です。
あのちゃんの声がキャラクターに合っていて、いわゆるタレントが声優やって興醒めにならなくて良かった。幾田りらちゃんはYOASOBIのボーカルの人?! 完全に声優さんと思ってました。多才だ。
アニメになり魅力倍増してます
漫画のファンです。
まさか本作がアニメ化するなんて・・・と
驚きとうれしさと不安いっぱいで
鑑賞しましたが。。。杞憂!です!
浅野先生のイラスト的なカットが
動くことでここまでより魅力的になるとは!
また、原作漫画の見せ方自体とても映画的な演出
だったんだぁと、映像化されて改めて認識
できました。。スケールと迫力が。
悲しみも残酷さもひときわです
そして前章は心揺さぶられるエピソードあり
ますから、人間ドラマとしても響きます。
原作を大きくいじることなく、きっと泣く泣く
削ったであろうエピソードもありましたが、
原作を知らない方でも楽しめるほどに、
素晴らしい構成になっており、間違いなく
後章が観たくなるはず!!!
声優陣もよかったですよ。
あのちゃんは、まんま おんたん でした。
分かっちゃいましたが
「知ってるよ!」で図らずも落涙でした。
すげぇな、あのちゃん。
最高です。
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