「この気色悪さはある意味才能」デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章 夜鷹さんの映画レビュー(感想・評価)
この気色悪さはある意味才能
友人に誘われて見に行きました。かつてその友人から同作者の「おやすみプンプン」という漫画を借りて読んだのですが、あまりの救いのなさとまとわりつく不安感に一巻も読み切ることができませんでした。漫画でそんなことがあったのはこれが最初で最後です。そのときのイメージを持っていたので同作者の作品とあって(本作は未読だったのもあり)見るのが少し不安でした。まあでも予告は楽しそうな感じだったし、年齢制限もないしな...と腹をくくって映画館へ。結果、全然グロい。露骨なエロシーンや肉体損傷表現が見られるわけではないんです、全く。でもストーリーがこれでもかってくらいグロい。年齢制限ものだろ...って途中からずっと思っていました。自分の善意に追い詰められて自殺する小学生とか、空から大量に落下してくる宇宙人(?)の死体とか、血が流れなくてもこんなにグロいものがかけるのかと感心しました。また、この作者が作り出す特有の気色悪い空気感は今回も健在で、彼は不自然を現実世界の中にとても自然に溶け込ませることが上手なんだろうなと感じました。例えば宇宙船が浮遊する中、皆の置き場のない不安が汚染物質といった形に昇華されてカルト的な流行を見せるのも、今までそんな状況考えたこともありませんが、実際に起きたら普通にありそうだと容易に想像できます。作者のこの特殊能力故、作品内は淡々と日常が過ぎていくのに観客の脳内だけ「ちょっと待ってよ、なにかおかしくない!?」と警鐘が鳴る。それでもなお進んでいく世界に自分だけがおかしいのか?と一人おいていかれるような不安感が残る、のかもしれません。結論として、こういう雰囲気が好きな人にとってはこれ以上なく楽しい作品だと思いますが、私は映画館で後編を見切る勇気がないのでアマゾンプライムになると思いますね...