「内部のドロドロを期待したらそこは薄かった」コンクリート・ユートピア 真中合歓さんの映画レビュー(感想・評価)
内部のドロドロを期待したらそこは薄かった
韓国の面白そうな映画きたああ!!!と思い、早速鑑賞してきました。大災害が起きて一つ無事に残ったマンションを皮切りにディストピア空間でのカーストが築かれていく、、、、もうこんなん設定の時点で面白すぎやん!!!っていう韓国エンタメ界の発想力には感嘆するばかりです。
日本人からすると少し分かりづらい部分ではありますが、日本より遥かにマンション集合住宅文化の韓国からすると、マンション同士でのカーストだったりそういうのもまた有るんだろうなあと思いながら観ていると面白い発見が有ります。
例えば、そもそもイ・ビョンホンがリーダーに選ばれたのも火災時の功績にプラスして最上階の住人であったという部分もその他の住人からの異論が出なかった要因の一つだと思われます。殺人を犯してまでやっと手に入れた最上階のマイホーム。しかしそれは余所者として手に入れた虚構で諸刃の剣だった。彼が最上階の住人だったからこそ、その他の住人にあまり顔が知られていなかったという裏設定もあるのかもしれません(普段お目にかかれない上級国民的な)。そんな彼が1階の最下層の住人を必死に救った。これが住人達の心にかなり響いていたとかそれは考えすぎでしょうか?(笑)
そんな感じでイ・ビョンホン率いるマンション内にユートピアが築かれていく様がテンポよく描かれていくこの辺は韓国作品お得意の描写スピードで期待通りの出来でした。
しかし一方で韓国作品特有の終盤の尻すぼみもやっぱり否めなくて、もっと内部でのイザコザだとかそういう内部崩壊メインを期待していたのですが、意外と外部からの接敵がメインで籠城戦みたいな方向性で話が進みます。
外の世界もまあまあ生存者が居て、そっちでのサバイバル的な展開もあるのですが映画という尺でやるには足りないような感じもして、やっぱりマンションメインで展開してほしかった気も。
そしてこちらも韓国作品特有の無責任女が何かを解決した気になって散々和を乱した挙げ句なんか助かって主人公交代みたいな感じになるっていうう~~んあの状況でイ・ビョンホンの正体無理に明かさなくても良いだろっていうツッコミどころがね。。。。
結局イ・ビョンホンも完全に死んだ感じでは無かったので続編に期待ですが、そもそも一つのマンションの中でもドロドロみたいな土台はもう崩れちゃっているので続編もどうなることやらです。
これはドラマでやるべきだったかな。。。。