「胸糞悪い話」コンクリート・ユートピア U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
胸糞悪い話
さすがは韓国というところか。
ああも、人の本質を突きつけられると反発をしたくもなる。まぁ、見苦しい。
とはいえ、自分にもそういう価値観や傾向がないかと問われれば答えにも詰まる。
加えて、漏れ聞こえてくる韓国の住宅事情なんかも考えたら、盛大なコメディにも見えなくはない。
冒頭に流れる過去の映像なんかはマンションは廉価版の「家」のような扱いで、あちらの文化を考えれば住居だけの意味でもないのだろう。
オープニングでちょいと見た事も内容な大地震が起こる。地面は隆起し列島を分断するかのような地割れが押し寄せてくる。そのカットが突発的で…予測できない災害のなんたるかを表現しているようだった。
災害のカットはほぼコレだけ。
後は瓦礫の山と凍えそうな外気と横たわる死体。
冒頭、5分と経たず人の業に直面していく。
終わってみれば、協調とかのメッセージを読み取りはするも、とってつけたような感じで…主題はソレではないのだろうなぁと思う。
「ああ言う人間にはなりたくない。」
そんな反面教師が山ほど出てくるから、そっちが主題なのだろうとも思う。
ロケーションもセットも見事だった。
瓦礫の山には絶望感しかなかった。
のだが、コレらは世界観の提示であって、テーマはそこにはない。
よくぞこんな脚本書いたなと、溜息しかでない。
またそれらを表現するイ・ビョンホンが凄まじい。
だいたいこの手の映画だとサバイバルが始まって、罪悪感とか道徳感とかに苛まれるのだけれど、全くない。もう究極なのだ。
自己中心的な思考。
自分の為に、自分達の為に。
それ以外の物は敵だったり、餌だったり、奪って当然だし、生存競争の真っ只中なのだから、常に。
…どうよ、コレ?
地球上の先進国の現状に見えなくもない。
かなりDEEPなメッセージを孕んでもいそうなのだけど、あんま深く考えると鬱になりそうなので、やめておこう。
でも…
世界平和ってのは難しいなぁと思う。
僕らは地球って星に住んでて、生きてる限り腹は減る。資源も食糧も無限ではなく有限だ。
だから理性と知性をもって交渉する。
してるはずだが…諍いはなくならない。
腹さえ減らなきゃ戦う事もないんじゃないかと思う。人が光合成できるようになったら平和は訪れるのだろうか?
生きてくってなぁ過酷だし、人間ってな不条理な生き物だなぁと思う。
あー、しんどかった。
レビュー書いて、ちっとは吐き出せたし良かったー