「何を伝えるためにこの映画を撮ったのか、答えが見つからなかった」コンクリート・ユートピア 八べえさんの映画レビュー(感想・評価)
何を伝えるためにこの映画を撮ったのか、答えが見つからなかった
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救いの無い映画だった。
ディストピアである。
なんのために撮られた映画なのだろうか、何を伝えるための映画なのだろうか、と自問する映画だった。
ヒロインであるミョンファの最後の言葉「(彼らは)普通の人々でした」が印象的だった。
万人の万人に対する闘争、そういった言葉も思い出される。
ただ、何を描きたいのか、やはりそれがわからなかった。
単に救いが欲しいというわけではない。
人間はこんなに酷い生き物。そう描くためだけにこれだけの時間とお金をかけたのだろうか、と思った。
恐怖を提供するホラー映画は、一瞬の救いを提供する。助かった、と安堵させる瞬間がある。その後に奈落の底に突き落とす恐怖が起こる。そう、助かったと安堵させて後に井戸から黒髪の女が這い出てくるのだ。
この映画はそういったものもない。暗澹たる状況が続き、最後の混乱の終末へと突き進む。だから、一瞬の安堵さえも無い。ラストシーンも安堵には思えなかった。なんのためにこの映画を撮ろうとしたのだろう。その答えが見つからない映画だった。
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