「コンクリート・ディストピア」コンクリート・ユートピア uzさんの映画レビュー(感想・評価)
コンクリート・ディストピア
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よくある“極限状態で人間の本性を炙り出す”系の作品。
外部との衝突、背信、増長、成り代わりなど、予告の時点で予想された以上のことは起こらない。
しかし、一定以上の緊迫感はしっかり保たれており、最後まで楽しめた。
外部の人々の排斥まではまだ理解できる(例外を出し始めたらキリがない)が、以降は胸糞展開。
自らの住居や財産は固守するが、火事場泥棒もしっかり行う。
それも、無人の家のみならず店主を殺害してまで略奪し、パーティさえ開く非道ぶりには閉口した。
しかも「仕方ない」と目を背けるでもなく「ゴキブリ」と罵る始末。
国民性なのか、ああでもしてないと正気を保てないのか…
その割に、この手の作品には珍しく性暴力的な描写はなかったな。
そもそも、継続的な食料調達の仕組みをつくらない限りは先細りでしかない。
誰も農耕などを提案しないし、外部(と言えるところが残っているか不明だが)へ行こうともしない。
徹底して現実を見ず、刹那的に生きている。
災害の原因や範囲は明かされないが、住民と同等の情報という点では主観的に観られる構造だった。
タイミングの良すぎる突入によって、ヨンタクの身バレの件が有耶無耶になったのは残念。
中盤がやや冗長で、車ごと吹っ飛ぶシーンは派手ながら必要性を感じない。
あの尺なら、主要人物に“外”側の人間もほしかった。
演技に関してはみな良く、終盤のミョンファが見せる目の揺れからの落涙は白眉。
あんな災害が起きたら絶滅するだろ、とか、あのアパートだけ残るわけないだろ、とか言うのはナシで。笑
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