劇場公開日 2024年1月5日

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「逆ユートピア=ディストピア」コンクリート・ユートピア TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0逆ユートピア=ディストピア

2024年1月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

韓国映画、歯に衣着せぬストーリーに外連味たっぷりの演出やアクション、そして個性あふれるキャラクターの登場で否が応でも惹かれてしまう作品が多くあります。
今作はディザスター(災害)物であり、元日に令和6年能登半島地震があったことでこのタイミングで観ること自体を躊躇しましたが、配給会社も延期することなく予定通り上映開始したということもあり、あくまで映画作品として実際の地震とは切り離して鑑賞することを決めました。
作品は冒頭から災害が起こり、物語としてはすでに辺り一面荒廃している中で1棟だけ残るマンション(アパート)中心を舞台にして展開します。
今作も時折謎のテンションで覚醒するイ・ビョンホンはキレッキレで笑えます。一方のパク・ソジュンが抑えの利いた演技でいいバランスです。そして相変わらず可愛らしいだけでなくきっちり巧いパク・ボヨン。さらにはキム・ソニョン、物語を廻す推進力として見事に機能しています。とてもいいキャラクターです。
ただ、、同じ画面越しとは言えつい最近に観た本当の災害の様子と、被災された人たちの振舞いを観ているため、例え映画としてエンタメ食強めに表現しているとは言え、本作はあまりに不自然で「虚構」に見えてしまいます。とは言え、観進めて納得するのは「災害」はあくまでこの状況を作るための「設定」でしかないことが解ります。なので「こんなの有り得ない」と引っかからず、この状況(逆ユートピア=ディストピア)においてどんな展開になるのかを楽しめばいいのです。
ところが、、、残念ながらイマイチ面白くなってこない上に、ある程度次の展開も予想できるため観ていて案外まどろっこしい。何なら、もう少しテンポよく上映時間130分が110分程度に出来ればもう少しよかったのかな、と。
また設定上やむを得ないですが、全体的に暗い映像が多く細部がよく見えないシーンが少なくありません。おそらく、これを液晶画面で観るとなると更に見え辛くなると思うと単純に「配信でもいい」とも言えず、真っ暗な部屋でコントラスト高めの設定で観ることを条件にはなりますね。
と言うことで、私の総合評価としてはあまり高くなく、でも否定するほどでもない、敢えて言えば「惜しい出来」かな。。残念ながらちょっと期待外れ。

TWDera