「シニカルなサスペンス」コンクリート・ユートピア キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
シニカルなサスペンス
元旦から北陸が大地震に見舞われた日本で、今劇場で鑑賞する映画としては余計な感傷が加わってしまうタイプの作品ではある。
物語としてはいわゆる「ゾンビもの」的な極限状態での人間ドラマをシニカルなサスペンスとして描いている。
映画の中では「世界に何が起こったか」は問題にしていないとはいえ、以前『白頭山大噴火』を観たレビューにも書いたけど、韓国の方々と我々日本人では「地震災害についての認識」の度合いが違うこともあってか、我々にはここで描かれる被害やその後の生活などのディテールが、(悪い意味で)漫画的というか、すごく都合よく表面的な描写に見えてしまう。
テンポは良くて上映時間は短く感じるくらい。
与えられた地獄の中で、基本的には多くが「善意」から始まった行動が次なる地獄を招く、というストーリーの流れも悪くないし、前半は私も「あなたならどうする?」を突き付けられてその後の展開に期待した。
でもやっぱり「ディテールが雑」なので、話が進んでいく内にリアリティを失って、なんとなく目を細めて見てしまう感じ。
映画の本当にラストのラスト、とある登場人物の一言で、このお話全体がグッと締まるいい構成なのになぁ。
あえてコメディタッチにしている箇所も多く、どちらかと言うとあまり考えず、お話に身を任せるくらいの軽いお正月映画として楽しむ分にはピッタリ。
コメントする