劇場公開日 2023年11月24日

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「性を肯定する、男女等しく肯定する」春の画 SHUNGA 菜野 灯さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5性を肯定する、男女等しく肯定する

2024年1月3日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

江戸時代のいわゆるエロ本、といってしまえばそれまでだけれど、女性も男性も等しく性、その快楽を肯定していることが伝わってくる絵画たち。しかも、落書きのレベルではなくて、当時の一流の絵師たちがたくさん残している。
セックスは子孫繁栄の象徴、生の象徴である、喜びであるという心情がうかがえる。R18指定が納得、性器はそのまま隠さず描いているし、むしろ誇張している。大名から庶民まで等しく男女が同じ行為をして子どもが生まれてくる。そのことは素晴らしく、歓迎すべきことで、喜ばしい。そういった江戸時代のご先祖たちの性への肯定感が伝わってくる。
明治に入って、性は猥褻といって取り締まりが入り、性は隠すべきものといった風潮になってしまったのだろうが、人間にとって性は避けて通れない。男と女に分かれている限り、女は男を求め、男は女を求める、そこに難しい理由はない。いまも昔も、異性のためにどれだけの精神と時間を費やしているのか。それであれば、性を肯定して、性をたのしもうといった健やかな性、そういったものは江戸時代に学ぶことがあるのかもしれない。そう思えた映画です。

菜野 灯