「物足りない深度」トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代 いちさんの映画レビュー(感想・評価)
物足りない深度
知らなかったことを多々教えてくれたドキュメンタリー映画。だけど、監督は加藤和彦の何に目を凝らそうとしたのか?--その格闘の力が弱くないだろうか。それは他のレヴューワーも指摘していたように、最後のなんとも当たり障りのない、加藤和彦の音楽をなんともほのぼのと継承できるかのような安易な主題と表現--みんなで合唱--に表れている。
このドキュメンタリーのもう一つの弱さは、加藤の音楽と生き方にとって決定的と思われる二人--福井ミカさん安井かずみさん--を含む女性への視点が欠落しているところにある。英国テレビ番組のスタジオライヴ映像のミカのカッコ良さは群を抜いていて、半世紀後の今でも色褪せない。オノ・ヨーコさんと並んで過小評価されている日本を代表する女性アーティストじゃないだろうか。
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Bootさんのコメント
2024年6月10日
あの素晴らしい…が底辺に流れてるような構成で当たり障りのない映画になりました。
黒船に衝撃を受けた私は、ゲット・バック・セッションの様な映像が有ればと残念でなりません。