「みんなギリギリを生きている」女優は泣かない sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)
みんなギリギリを生きている
ストーリーは難しくなく、かつ、余計な説明なしにテンポも良い。蓮佛美沙子、伊藤万理華のやり取りには、コミカルさもあって、楽しく前半が進む。そのうちに、ちょっとのボタンの掛け違いが重なって、決定的な亀裂につながる…。
そんな展開に合わせた蓮佛美沙子、伊藤万理華の演技はもちろん期待通りだったが、自分は三倉茉奈の演技に驚いた。
NHKの「ふたりっ子」のマナが…なんて、いつまでも思っているのもなんだが、観ているだけでキュッと胃を掴まれるような恐怖感漂う佇まいが、圧倒的な存在感を放っていた。
夫とうまくいかず、父親は余命いくばくもない。けれど、それを支えてくれる相手もいない。そんな彼女を取り巻く背景が、彼女が画面に存在するだけで見えてきた。
ギリギリなのは、彼女だけではない。もちろん、蓮佛美沙子や伊藤万理華もそれぞれ崖っぷちで後がない。だからこそ、それを逃れようとあがくのだが、それが逆にマイナスの結果につながる。
こうしたことは、自分自身にも身に覚えがあるし、居たたまれなさに共感を覚えた。
後半の展開はベタかとも思うが、それに乗っかる気持ちよさも充分に味わえる。
映像上のことで言うと、時折インサートされるハンディカメラがとても効果的だったが、エンドロールのクレジットを見て納得した。
あと、あのレシピで焼き飯作ってみたくなった。
マナちゃん、とても良かったですね。
あのピリピリきりきりした演技があってこそ、コメディとシリアスが繋がったかと。
それがコメディにも繋げられる匙加減なのも見事でした。
共感&コメントありがとうございます。
三倉茉奈さんと主演二人は凄く良かったんですが・・今作の後「ダムマネー」で金儲けと家族の絆を描いているのを観て、またその後の「レディ加賀」で、邦画じゃ家族の命がかからないと絆を取り戻せないのか!とちょっと理不尽な憤りを覚えました。