「50年目の新作」エクソシスト 信じる者 sumichiyoさんの映画レビュー(感想・評価)
50年目の新作
良くも悪くも新3部作の第1作目という立ち位置でした。
ストーリー構成は旧1作目を追っていました。が、似せた分、比較されがちなのが玉に瑕。シンプルだった旧1作目と比べて、アンバランスな場面が目立ちました。主人公父娘の過去や現在の日常シーンに時間を割きすぎて、悪魔憑きからが急展開でした。また、病状の検査過程がないまま「悪魔の仕業だから信じなさい」と言わんばかりに強引な誘導も少し違和感が。本作は悪魔祓いの過程でなく、その意義がテーマだったかもしれません…。
悪魔祓いもどこか心許ない儀式でした。神父以外による儀式だったので不安しか感じず、取り憑かれた少女二人もほとんど描かれず、シリーズらしい悪魔との死闘がないまま飛び入り神父の末路は伝統的。ホラーというほどの恐怖心を感じませんでした。
シリーズは「神や悪魔という概念上の存在を宗教的に描き、人間をそれらと向き合わせる過程をホラーにした作品」だと考えています。なので、神や悪魔を直接的に描かず、あくまで人を介して表現されていました。本作は子役に配慮したためか悪魔的シーンが少なく、また寄せ集めた人ばかりの儀式で神性も感じられませんでした。構成と演出でうまくカバーできていればと残念な点でした。
ヴィクター役のレスリー・オドム・Jr.さんはシングルファザー役がうまく表現できていました。娘に対して過保護だったり、どこかぎこちなかったりといった感覚を冒頭から感じました。その理由も後々…。50年ぶりの出演となるエレン・バースティンさん演じるクリス・マクニールは当時の女優魂のままだったので安心しました。
と、厳しく書きましたが、第2作目に期待したい作品でした。悪魔憑きの過程、悪魔祓いの結末、主人公父娘のその後など疑問が残り、また旧シリーズからの疑問もあるのでその回収もできれば…。その点、本作はピースが出揃ったと思うので、あとは上手にはめ込むだけ。第2作目はいい意味で期待を裏切る可能性を秘めた作品でした。