「久々に、心が震えました。」52ヘルツのクジラたち のりたまちびさんの映画レビュー(感想・評価)
久々に、心が震えました。
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観終わった今は、現代的な課題をよくあれだけ入れて、お話をまとめたなあと、感心しています。
イヤフォンで52ヘルツのクジラの声を聴くだけで、脳内にクジラが雄大に泳ぐ姿がイメージできたので、最後の迷いクジラの出現は不要だったかな。
今作で一番不思議な人物、あんさん。
きこさんへの接し方や、紡ぐ言葉は、すごく優しい。
きっと壮絶な人生を過ごしたんだろうなとは想像できました。
反面、なぜこんな中途半端かつ似合わないひげを生やしているのか、あんさんの表情や言葉、態度に強い違和感を抱くのか、分からなくてもやもやしました。
きこさんの過去の話の方に強く惹かれてどんどん映画の中に没入していきました。
中盤、あんさんの過去が分かった時のカタルシス。
中学生の時に、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」で体験した初カタルシス以来のスッキリでした。
なるほど、だからかと、非常に納得しました。
この部分だけでも、ホントに観てよかったと心から思いました。
本当に欲しいものを手に入れたいなら、失うかもしれないというリスクを冒す必要がある。
きこさんもあんさんも、本心を伝えあっていたら、ハッピーエンドになっていたかもね。
「女でも男でも、生きていて欲しかった」
「心からあなたの幸せを祈ります」
まさしくこれらは、子を持つ親の気持ちです。
私も、生きているわが子に、ちゃんと直接伝えなきゃ。
実の親から、こういう言葉をもらえない子どもたちの支援をしている身の上としては、気が引き締まる思いです。
この気持ちを忘れないように、ブルーレイを買って、何度も何度も、この映画を観賞しようと思いました。
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