「「問題」の詰め込み過ぎ」52ヘルツのクジラたち 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
「問題」の詰め込み過ぎ
杉咲花は助演なら高く買うが、主演としては華が足りないと思っている俺。それでも、予告編の演技に目を見張るものがあったので、観ておこうと思った。
【物語】
東京から九州の海辺の小さな町の一軒家へ引っ越して来た貴瑚(杉咲花)。町の人からは好奇の目で見られていたが、この地でひっそりと暮らすつもりでいた。
あるとき埠頭で時間を過ごしているうちに急に雨が降り出す。慌てて帰ろうとするが、途中で古傷が痛んで倒れる。動けなくなった貴瑚に少年(桑名桃李)が駆け寄り、傘をかざした。 落ち着きを取り戻した貴湖はビショ濡れ何なった少年を家に連れていくが、少年の体があざだらけであることに気付く。
自分も母親に虐待されていた過去を持つ貴瑚は、虐待だと確信し、放っておけなくなる。貴瑚は母親にムシと呼ばれ、言葉も話せない少年の面倒をみるようになる。少年に誰にも声を聞いてもらえない孤独な「52ヘルツのクジラ」の話をする。かつて自分の叫び声も誰にも聞いてもらえずにいたが、ありとき声を聞いてくれる人が現れたことを話す。
貴湖は少年と接しながら、生きる希望も気力も無くしていた自分を救い出してくれた安吾(志尊淳)との日々を思い出す。
【感想】
ちょっと・・・
全体に重すぎる。最後にわずかに「光が差す」感じで終わるのが救いだが、それでもなあ・・・
育児放棄・幼児虐待、介護、LBGT、DV、社会問題のてんこ盛り。 さらにはパートーナーの不誠実まで加わる。
「人間、生きるのは大変だ、苦痛だ」を描きたかったのか? と思ってしまうほど。 もう少し「問題」の的を絞って良かったのでは?
タイトルからしても、人生における孤独感(独りで苦しんでしまう)とその救いを描きたかったのだと思うけど、色々な不幸を詰め込み過ぎて、救いの部分が大いに不満足だった。 温かいや気持ちになれる、あるいはホッとできるようなシーンが余りに少なく、ほぼほぼ苦痛だけを見せられて終わった感じ。
杉咲花初めとする役者達は頑張っていたけど、作品のバランスを誤ったのではないだろうか。