「胸が痛くなったがいい映画だったとは思う」52ヘルツのクジラたち 邦画野郎さんの映画レビュー(感想・評価)
胸が痛くなったがいい映画だったとは思う
予告編の印象では主題歌の希望ある感じの曲調もあるため、きなこが安さんに出会い、救われて成長する希望の物語と感じていた。実際、一部それはそうではあったのだが本編の大半は胸が痛むような暗く重いシーンが多く続きます。
きなこの現在から始まり愛との出会い、そこからの過去の回想、安さんとの出会い、新しい人生を始め、歩んでいく中でまた悲しい出来事が起きてしまう。そこからたどり着いた今の生活で愛とまた新たな人生を始めていく物語です。
ここからは各役者の個人的な演技の印象を。
昨年の「法廷遊戯」でテレビドラマでは見たことがない役柄での演技に衝撃を受けた杉咲花さんは今回も回想シーンから現在に至るまでのさまざまな、その時代のきなこをしっかり演じてきっていてやっぱりすごいなーと思いました。
きなこが自死しようとするシーンは法廷遊戯の北村匠海との杉咲花の終盤のシーンと被りましたw
志尊くんもさわやかイケメンの印象が今までありましたが優しく温かい安さんの演技がすごくよかった。自分の勝手な思いになりますが安さんにはやっぱり生きていてほしかった。安さんのお母さんと同じ思いです。安さんときなこが性別や体がどうであれ共に生きていってほしかったなとすごく思ってしまいました。
宮沢氷魚さんは初めて見る方でしたが、最初からの胡散臭さと嫉妬DV男の演技が見ていて本当に憎たらしくなるほどで、かなりハマり役だったと思います。
同様に西野七瀬さんの虐待シングルマザー役もだいぶハマり役でしたね。1月公開だった「ある閉ざされた山荘」でも感じましたが彼女は昔に比べると演技がだいぶ上手くなったように思います。
真飛聖さんの虐待母役は現在放送中の某ドラマでも似たような役柄でしたが先週見た「マッチング」ではクールな女刑事を演じてたり、幅広く演じていてその演技力も特に今回の冒頭の診察室での狂いっぷりは凄かったですね。
小野花梨さんはとにかく可愛いくて明るくてよかった!大好きです!こんな彼女がほしいw
余貴美子さんや倍賞美津子さんは存在がさすがの大女優って感じで安定の演技力でした。
最後に内容として気になった点を。
作中には度々あからさまにサントリー商品が出まくるのが気になりました。
私もまんまとそれにハマり帰りにプレモルを買ってしまいましたw
あとはきなこのお母さんと義父についてはどうなったのか、あのシーンだけで絶縁したということなのだろうか。自分が福祉職をやってるため義父の介護はどのように繋いだのか気になっちゃいました。
ま、そんなこんなでいろいろ書きましたが本当に2時間ちょっとあっという間で「え、もう終わっちゃうの?もっと見たい!」って感じで見終えたので自分としてはなかなかいい映画だったかと思います。