コラム:メイキング・オブ・クラウドファンディング - 第10回

2016年12月13日更新

メイキング・オブ・クラウドファンディング
岸井ゆきの (C)2016 UNDERDOG FILMS
岸井ゆきの (C)2016 UNDERDOG FILMS

■映画をみて勇気を貰って欲しい

大高:今回のクラウドファンディングは、ポストプロダクション・配給・宣伝にかかる費用への支援募集でしたが、ラストスパートからの達成までの追い上げが神がかってましたよね。最終日は中村監督が名古屋のシネマスコーレでのイベントを企画したことが達成できた要因かと思います。

中村:いえいえ、名古屋は当日に相談して行くことになりました。東京の映画館で突然イベントを企画することは難しいので、シネマスコーレの方に駄目元で相談してみたんです。シネマスコーレは僕が一番最初に撮った映画「ぽんぽん」から作品を全て上映してくれていたりして、僕にとって第二の故郷のような場所なんですよね。最終日も、電話でクラウドファンディングの追い込みイベントをしてもいいか相談したら「いいよ!とりあえず来なよ!」ってすぐOKしてくれて。そして名古屋に移動しながらツイッターでイベントの呼びかけをしたら、当日にもかかわらず20人ほどのお客さんが集まってくれて、その人たちの応援もあって見事達成することができました。

大高:最後は本当にお祭りのような雰囲気がありましたよね。髭野さんはクラウドファンディングはどんな印象でしたか?

髭野:募集した最中は、中々支援金額が伸びなくてひやひやする日々でしたね。僕は終了間際、更新ボタンをクリックし続けてたんですが、最後の最後にドーンとたくさん支援を頂き、無事達成できた時は本当に感動しました。今回の映画は色々な場面でそういった最後の追い風が吹いて完成に至りました。そして振り返ると、クラウドファンディングは“映画を作る姿勢”で応援してくれることが嬉しいと思いました。僕の周りの人も、“友達だから”といった気軽な支援ではなく、自主製作で映画を作ってることを知ってる会社の先輩や、映画を通して知り合った方からの支援が多かったことが嬉しかったですね。

中村:あとは「以前の作品を観てファンになりました。今回も応援しています」といったコメント付きで応援を頂いたりすると、映画を作る上ですごく励みになりますね。

大高:それは嬉しいですね! そして、その言葉は監督が今まで心を込めて映画を撮ってきたからこそ貰える言葉ですよね。改めて監督の映画と映画を応援してくれる人の熱さを感じました。最後に劇場公開に向けてメッセージをお願いします。

髭野:映画は12月24日からテアトル新宿と名古屋シネマスコーレにて公開が始まります。「太陽に掴め」を観て、映画に込められたエネルギーが伝わって、“また明日から頑張ろう”という気持ちになって貰えたら嬉しいです。今回、中村監督と“どこまで自分たちでやれるか”ということを考え、自主配給の体制を取りました。監督にとっては第二のデビュー作と言える内容になったと思います。特に10代や20代の同世代で悩みのある方に観て頂けたら、きっと伝わるものがあるんじゃないかなと思います。

中村:僕は“映画が流行ればいいな”ってず~っと思ってるんですよね。僕は大学2年生の頃からミニシアターや名画座でたくさん映画を観るようになって、その頃に覚えた感動が映画を作る動機になったんです。僕は映画を観て人生観が変わって、映画って本当に素晴らしいなって思えたんですね。そして映画は楽しむこと以上に、勇気を貰えるものだとも思うんです。なので「太陽を掴め」を観て、普段話せないようなことを話すきっかけになったり、好きな人をお茶に誘ってみたり、そんなワンアクションを起こす後押しになってくれたらすごく嬉しいです。「太陽を掴め」は勇気を貰える映画になっていると思うので、映画をみて是非勇気を貰ってくださいね。

(C)2016 UNDERDOG FILMS
(C)2016 UNDERDOG FILMS

「太陽を掴め」
12月24日(土)よりテアトル新宿、名古屋シネマスコーレにてロードショー

出演:吉村界人、浅香航大、岸井ゆきの、三浦萌、森優作、内田淳子、松浦祐也、古舘寛治、柳楽優弥(友情出演)
監督・脚本:中村祐太郎
プロデューサー:髭野純 / 脚本:木村暉 / 撮影:鈴木一博 / 照明:陸浦康公 / 録音:山本タカアキ / 美術:成尾美奈 / 編集:谷口恒平 / ヘアメイク:寺沢ルミ / 衣裳:松田稜平
制作・配給:UNDERDOG FILMS / 89 分 / カラー / 2016 / シネマスコープ / (C)2016 UNDERDOG FILMS

筆者紹介

大高健志(おおたか・たけし)のコラム

大高健志(おおたか・たけし)。国内最大級のクラウドファンディングサイトMotionGalleryを運営。
外資系コンサルティングファーム入社後、東京藝術大学大学院に進学し映画を専攻。映画製作を学ぶ中で、クリエィティブと資金とのより良い関係性の構築の必要性を感じ、2011年にMotionGalleryを立ち上げた。

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