コラム:FROM HOLLYWOOD CAFE - 第251回
2014年3月24日更新
第251回:人気ドラマ「24」が復活!ロケ地取材をレポート(後編)
「24 TWENTY FOUR」が、ミニシリーズ「24:Live Another Day」として帰ってくる。エピソード数は12話に半減したけれど、これまでと同様のスタイルなので、完全復活とみていいだろう。
でも、2010年に8シーズンの放送にピリオドを打っているし、その後は映画で継続する予定だったはずだ。イースト・ロンドンに組まれた「24:Live Another Day」のセットで、ジャック・バウアー役で製作総指揮に名を連ねるキーファー・サザーランドを直撃すると、こんな答えが返ってきた。
「僕とハワード(・ゴードン)を含む、クリエイティブのみんなが映画を熱望していた。どうして実現しなかったかって? それは連中に聞いてもらうしかない」
“連中”とは、FOXの映画会社のことだ。「24 TWENTY FOUR」を制作しているFOXのテレビ部門とは別の会社組織で、彼らは映画版に積極的ではなかったようだ。痺れを切らしたサザーランドが「TOUCH」でテレビ復帰を果たしてしまったことからスケジュール調整が困難になり、放送終了から時間が経過しすぎてしまったこともあり、制作中止の判断を下したのではないかと想像する。
今回の復活は、「TOUCH」の打ち切りが決定したあと、製作総指揮のハワード・ゴードンにアプローチされたことがきっかけだという。
「『24話ではなくて、12話で再開する案があるんだが、興味はあるかい?』と聞かれたんだ。『君がいいアイデアだと信じているなら、ぜひやりたいね』と答えた。イエスと言うまでに10秒もかからなかったよ」
さて、「24:Live Another Day」は、企画されていた映画版とは異なるストーリーで、4年後を舞台にしている。
「前のシーズンは、ニューヨークで物語が終わっている。アメリカ大統領に20分の猶与をもらったジャックは、クロエの助けを借りて国外に逃亡した。その後、東ヨーロッパに潜伏していたんだが、ある日、機密情報を入手する。特定の日に、ロンドンでアメリカ大統領の身にひどいことが起きるという情報だ。計画を阻止するために、ジャックはロンドンにやってくるわけだが、姿を見せたとたんCIAやMI5、MI6に追われる羽目になるんだ」
4年ぶりにジャック・バウアーを演じてブランクは感じなかったのだろうか?
「演じる前は、なにかを忘れているんじゃないかという恐怖があったんだ。以前のように演技ができないんじゃないか、と。でも、あっけないほど簡単に戻ることができた。この感覚は、旧友と再会したときに近いね。たとえ20年ぶりに会っても、別れてから1日しか経っていないかのように付き合うことができるという」
「24:Live Another Day」がシリーズ化するのか、映画化に再挑戦するのかは、まだ決まっていないと、サザーランドは言う。
「関係者はいろんな可能性を模索しているけれど、僕自身はこの12話に集中している。すべては脚本家チーム、とくに、ハワード・ゴードン次第だ。彼が今回のアイデアを思いついたわけだからね。僕としてはあらゆる可能性にオープンでいたいと思っているよ」
「24:Live Another Day」は、5月5日に全米放送が開始。日本での放送は未定。
筆者紹介
小西未来(こにし・みらい)。1971年生まれ。ゴールデングローブ賞を運営するゴールデングローブ協会に所属する、米LA在住のフィルムメイカー/映画ジャーナリスト。「ガール・クレイジー」(ジェン・バンブリィ著)、「ウォールフラワー」(スティーブン・チョボウスキー著)、「ピクサー流マネジメント術 天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたのか」(エド・キャットマル著)などの翻訳を担当。2015年に日本酒ドキュメンタリー「カンパイ!世界が恋する日本酒」を監督、16年7月に日本公開された。ブログ「STOLEN MOMENTS」では、最新のハリウッド映画やお気に入りの海外ドラマ、取材の裏話などを紹介。
Twitter:@miraikonishi