コラム:人間食べ食べカエル テラー小屋 - 第23回
2020年12月18日更新
「流出!発禁動画」心霊ビデオ界隈ではトップレベルで怖い隠れた傑作
心霊ディレクターの寺内康太郎氏が、「心霊玉手匣」の岩澤ディレクター等あらゆる名スタッフたちを集めて作り上げた、心霊アベンジャーズというべき大作「心霊マスターピース」第2弾の放送が開始となり、今かなり盛り上がっている心霊ビデオ界隈。今回は、そんな心霊ビデオを私も密かに応援すべく、あまり名は知られていないけど個人的にトップレベルで怖いと思っている隠れた傑作「流出!発禁動画」を紹介したい。
「年間1,000本は送られてくるという心霊動画。実は、それは霊能力者監修のもとで選定されていることを知る者は少ない。中には霊能力者の強い意向で収録が見送られた作品も数多く存在する。今回、特別にそれらの映像をお祓いしてもらい収録許可を得た。だが、安全は保障できない……」と、冒頭のナレーションでいきなりハードルを上げまくる。だが本作は、そのハードルを心霊映像でもって見事に超えてくる。
ナレーション後、本編が始まる前にジャブ替わりとして流れるのは、とある大学サークルが試みた念写映像だ。カメラレンズにキャップを付けているため、真っ暗なはずなのだが、人の顔がはっきりと映り込む。ジャブがすでに右ストレートなみに強烈だ。しかもリプレイは一切なし。「二度は見せない、一度で恐怖を目に焼き付けろ」そんな製作者の声が聞こえてくるようだ。そう、本作には、リプレイがほとんどない。一部、簡素的に繰り返し見せる場合もあるが、基本的には「今映ってたろ?怖いだろ、じゃあ次行くぞ次!」というノリで、一切余計な演出を挟むことなく、ひたすら怖い映像だけを流していく。表に出てくるスタッフもいなければ取材・調査パートも一切ない。そのあまりのストイックさに感動すら覚える。映像の怖さに相当な自信がないと出来ない構成だ。ジャブ映像後にタイトルが出てからは、怒涛の恐怖映像つるべ打ち。その数全部で9本。中には軽めの映像もあるが、普通の心霊ビデオのクライマックス級のやつが半分以上を占めている。以下、その中から印象的な映像をいくつかピックアップして紹介する。
まずは1本目の映像。これは、とある夫婦が自分たちの住む家の様子を撮影したものだ。旦那の両親の持ち家を引き継いだのだが、そこは心霊現象の巣窟だった!というわけ。壁にひびが入るわ、食器が割れまくっていくつあっても足りないわ、夜中に物音はするわ。昼も夜も休む暇なく心霊現象が続く。その過剰労働っぷりに思わず霊が心配になる。特に後半、階段の上に人影が現れてからの畳み掛けるような展開に戦慄必至。ナレーションはほとんどなし。もちろんリプレイも一切なし。そのストイックすぎる演出が余計に恐怖を煽る。
続いては4本目。これは、とある動画投稿サイトで発見された、何かにおびえる男の姿を撮影した映像だ。男は何者かに追われているのか、外を異様に気にし続ける。彼は「霊が自分に取り憑こうとしている」と話す。狂言か、本当に霊が彼を狙っているのか。どちらとも判断がつかない危うさがある。Amazon Primeに突如現れ、その謎っぷりで多くの人を戦慄させたPOVホラー映画「コリアタウン殺人事件」を彷彿とさせる内容である。オチはベタだが中々ゾッとする。
5本目の墓参りの様子を映し出した映像も強烈だ。墓参りが終わり、皆で帰ろうとする途中、ふと撮影者が後ろを向くと、墓の後ろから女が顔を半分のぞかせている。一回視線を話すともういない。だがもう一度カメラを戻すとさっきより近づいている!慌てて逃げる撮影者!墓場で極限猛ダッシュ!だが女の霊はどんどん近づいてくる!一切容赦なくアグレッシブに襲撃してくる霊が怖すぎる。しかもこれ、真昼間の出来事なんですよ!!文句なしの傑作だ。
最後に紹介するのは9本目。若者4人が廃墟探索をする映像だ。最初のうちは廃墟を歩き回りながら騒ぎまくって楽しんでいるが、途中から様子が一変。床に倒れたタンス?から女がぬーっと出てくると、一気に地獄に様変わり。若者たちは慌てて逃げるが、女の霊はことごとく先回りをしてくる。やがて一人また一人と、忽然と姿を消していく。段々と追い詰められ、次第に恐怖と不安が募る展開は、まるで一本のホラー映画を観たような充実度。トリを飾るのにふさわしい渾身の一作だ。
上記で紹介した映像以外にも見ごたえのある凶悪映像の目白押し。霊の出方にもかならず一捻りあるのが素晴らしい。もし心霊ビデオファンでまだ観ていない方がいたら、本作は大必見だ。
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筆者紹介
人間食べ食べカエル(にんげんたべたべかえる)。人間食べ食べカエルです。X(旧Twitter)で人喰いツイッタラーをやっています。ID @TABECHAUYOで検索してみてください。WEBや誌面で不定期に寄稿をするほか、新作へのコメントなどを書いています。好きなジャンルはホラーとアクションで、特にモンスターに人が食べられるタイプの映画に目がありません。「ザ・グリード」に出てくる怪物を目指して日々精進しています。どうぞよろしくお願いします。
Twitter:@TABECHAUYO