コラム:人間食べ食べカエル テラー小屋 - 第12回
2020年1月10日更新
デスゲームはこうでなくっちゃ!「ヒューマン・レース」でやる気ブースト!!
年が明けて、休みも終わり、既に多くの人が仕事を始めている事と思う。休み明けのこの時期はとにかくストレスと疲れがたまる。年末年始ぶっ通しで仕事だった方は恨みなど含めて、もっと色々溜まっていることだろう。そんな時は、いつもより人が多く死ぬ映画を観るのが一番!! というわけで、2020年一発目のコラムでは、大量の人々が死ぬ映画「ヒューマン・レース」について紹介したいと思います。
突然、謎の空間で目覚めた老若男女80人。彼らに、何者かの声が天から語り掛けてくる。「レースの勝者はたった1人。学校と家と刑務所は安全地帯。矢印に従わなければ、死。道を外れたら、死。2周遅れたら、死。草に触れても、死。レースを拒んでも死」訳も分からず、強制的に死のレースに参加させられた彼らを待ち受ける運命とは……。
複数人が強制的に命を懸けた戦いを行う、いわゆるデスゲームを題材にした作品は多いが、その中でも王道設定の一つ、負けたら死ぬレースを描いたのが本作である。
この映画、なんといってもデスゲームモノとして最後まで芯がブレない点が偉い。最初に、「最後の一人になるまで走れ! 抜かれたり道を逸れたりしたら死!」というシンプルなルールを明確に提示し、ルール違反=即死の法則を最後まで徹底する。登場人物は最後までルールのもとで生存ルートを模索していく。話は二転三転するが、これだけは最後まで崩さないところが、個人的に最も評価できるポイントだ。
それと加えて、無駄のない構成も素晴らしい。上映開始直後にルールを説明したら、いきなり有無を言わさずレースが開始。それとともに、訳も分からずルールを破ってしまった人たちが死にまくるスピード感満点の開幕で一気に引き込まれる。
また、フラッシュバックなどの演出を巧みに使い、スムーズに主要キャラの背景を描写。死のマラソンと並行して、ダレることなく人間ドラマを描くことにも成功している。
レースに参加させられるのは老若男女、人種も様々。中には身体的にハンディキャップのある人もいる(主人公も戦争で片足を失っており、松葉杖を使ってマラソンする)。そんな多様なキャラを、90分という短い時間の中で無駄なく捌く手腕に唸らされる。
なんとか皆を纏めて状況を打開しようとする人、ひたすら走って自分一人が勝ち抜こうとする人、普通に人殺しをしまくるヤベー人。参加者がそれぞれのエゴを拡大し続け、それに伴い犠牲者も加速度的に増加。レース会場は段々と死体で埋まり、皆が本性を剥き出しにする。
後半は文字通りの地獄絵図だ。醜い人間の争いも満載だが、あくまでもレースを主題にしてストーリーが進むので、見ていてあまりストレスは感じない。このバランス感覚が見事だと思う。
もう一つ、本作の素晴らしい点がある。それは、景気のいい死にっぷりだ。デスゲーム映画に期待するものとして、当たり前だがデスの部分も大きい。その点、本作は80人の登場人物がいて、物語の構成上そのほとんどが犠牲となる。
冒頭にも書いたようにすげー量の人が死ぬので、デスの方の満足度も非常に高い。しかも死に方はド派手な首爆発。誰であろうと、ルール違反したり敗北条件を満たしたりすると即、首がパン。あっちでパン、こっちでパン、パンパンパン。あちこちでド派手に咲く真っ赤な首花火。首パンの連射は、観ていてメチャクチャ爽快だ。「キングスマン」のクライマックスのアレがマジ仕様だったら、多分こんな感じじゃないかな。
脱落者の末路を容赦なく描くことで、ゲームの非情性も強調。こりゃどう頑張っても逃げられないし、生き残るにしてもルールは絶対に守らないといけないと思わされる。どうあがいてもレースから逃げられないという展開の説得力が凄まじい。
公開からもう7年ほど経つが、今観ても色褪せない面白さだ。まさにデスゲーム系の教科書的な作品。バンバン人が死ぬ高速展開と地獄すぎる駆け引き、そしてやったるぜ!的なカッコよすぎるラストを観るとメチャクチャ活力が湧く。今年もやるぞ!という気合が入る。年始めは駅伝も良いけど「ヒューマン・レース」もお勧めですよ!!
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筆者紹介
人間食べ食べカエル(にんげんたべたべかえる)。人間食べ食べカエルです。X(旧Twitter)で人喰いツイッタラーをやっています。ID @TABECHAUYOで検索してみてください。WEBや誌面で不定期に寄稿をするほか、新作へのコメントなどを書いています。好きなジャンルはホラーとアクションで、特にモンスターに人が食べられるタイプの映画に目がありません。「ザ・グリード」に出てくる怪物を目指して日々精進しています。どうぞよろしくお願いします。
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